源泉所得税の納付をまとめてできる「納期の特例」について

事業主(会社、個人事業主)がお給料や報酬の支払い時に源泉徴収した所得税(源泉所得税)は、事業主が税務署に納付する必要があります。
その納付は、原則お給料や報酬を支払った月の翌月10日までに納付しなければなりませんが、一定の要件を満たすと、年2回まとめて納付することができます。

年2回まとめて納付する『源泉所得税の納期の特例』についてご説明させて頂きます。

【目次】

  1. 納期の特例の適用を受けるための要件
  2. 納期の特例の対象となる源泉所得税
  3. 納期の特例の適用を受けるための提出書類
  4. 納期の特例を受けた場合の納付期限
  5. 納期の特例の要件に該当しなくなった場合
  6. 納期の特例を適用するメリット
  7. 源泉所得税納期の特例 まとめ

1.納期の特例の適用を受けるための要件

給与を支給する人数が常時9人以下である事業主

※10人以上になれば、すぐに適用を受けれなくなるわけではありません。
「5.納期の特例の要件に該当しなくなった場合」を参照して下さい。

2.納期の特例の対象となる源泉所得税

給与や退職金から源泉徴収をした所得税や復興特別所得税と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税に限られます。
そのため、原稿料や講演料などの報酬に対する源泉所得税は、納期の特例の対象とはならず、支払った月の翌月10日までに払う必要があります。

3.納期の特例の適用を受けるための提出書類

納期の特例の適用を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄税務署に提出して下さい。
原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。

4.納期の特例を受けた場合の納付期限

  • 1月~6月に発生した支払いに係る源泉所得税・・・7月10日
  • 7月~12月に発生した支払いに係る源泉所得税・・・翌年1月20日

(※)納付期限が土日祝の場合は、その休日明けの日が納付期限になります。

納期の特例の期間の途中から適用を受け始めた場合は、申請書を提出した月までは納期の特例の対象となりませんので、ご注意下さい。

  • 例:3月に申請書を提出した場合、1月~3月に支払ったお給料に対する源泉所得税の納付期限は支払った月の翌月10日になり、4月~6月に支払ったお給料に対する源泉所得税の納付期限は7月10日になります。

5.納期の特例の要件に該当しなくなった場合

給与を支給する人数が常時10名以上になる等要件に該当しなくなった場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を所轄税務署に提出して下さい。

提出した日の属する納期の特例の期間内に源泉徴収した税額のうち、その提出の日の属する月分以前の各月に源泉徴収した税額は、その提出の月の翌月10日までに納付しなければなりません。

  • 例:5月にこの届出書を提出した場合、1月~5月に支払ったお給料に対する源泉所得税の納付期限は6月10日になり、6月以降に支払ったお給料に対する源泉所得税は翌月10日が納付期限になります。

6.納期の特例を適用するメリット

納期の特例を適用することで、年2回の納税でよくなるため、毎月の事務負担が軽減されます。
また、納付を遅らせることになるので、資金繰りが楽になるというメリットもあります。

7.源泉所得税納期の特例 まとめ

源泉所得税はその会社の役員、従業員や外注先(ただし、デザインや翻訳、外交員などへの外注費の源泉所得税は毎月納付する必要があります。)の所得税を預かって、事業主が納付する税金です。必ず納付期限を確認し、遅れずに納付しましょう。

源泉所得税の納付書の書き方が分からない場合は下記の記事をご参考にしてください。

また、源泉所得税の納付は、銀行の窓口まで行かなくても、インターネットバンキングで納付することも可能です。
インターネットバンキングで納付する場合は下記の記事をご参考にしてください。