労働保険年度更新申告書の書き方を詳しく解説(自動計算シート付き)

毎年6月ごろに、「労働保険料・一般拠出金 申告書在中」と書かれた緑の封筒が送られてきます。
こちらの申告・納付期限は毎年7月10日までとなっております。(土・日・祝の場合は翌日です。)
今回の記事では、継続事業用労働保険年度更新申告書の書き方を解説するとともに、集計した数値を入力するだけで労働保険申告書ができあがる大変便利なシートもご紹介させて頂きます。

  • 労働保険の年度更新
  • 労働保険申告書の書き方
  • 集計とるだけ!労働保険申告書の自動計算ツール

 労働保険の年度更新

労働保険の年度更新とは、毎年4月1日から3月31日を単位として、前年度分の確定している保険料と概算保険料を精算し、新年度分の概算で計算した保険料を労働基準監督署、都道府県労働局等へ申告することです。
今回は継続事業用の労働保険年度更新申告書の書き方についてご説明させて頂きます。

 

 労働保険申告書の書き方

厚生労働省から送られてきた封筒には、一般的に以下のものが同封されております。

  1. 労働保険概算・増加概算・確定保険料一般拠出金申告書
  2. 平成●●年度 確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表
  3. 申告書の書き方
  4. 保険料率表(厚紙)
  5. 各種お知らせ

申告書を作成するために「平成●●年度 確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」で賃金等の集計を先に行ってから、その数値を申告書に転記していきます。

「平成●●年度 確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」の書き方

まず、労災保険および一般拠出金(対象者数及び賃金)の欄に下記の区分で集計して合計を出します。

  1. 常用労働者、パート、アルバイトで雇用保険の資格のある人
  2. 役員で労働者扱いの人
  3. 臨時労働者(上記1、2以外の全ての労働者)

次に、雇用保険(対象者及び賃金)の欄に下記の区分で集計して合計を出します。

  • 常用労働者、パート、アルバイトで雇用保険の資格のある人
  • 役員で雇用保険の資格のある人
  • 免除対象高年齢労働者
    ※4月1日現在で満64歳以上の労働者が対象

それぞれ集計したものを、下記の画像を参照して転記していきます。

平成●●年度 確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表

これで、「確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表」は完成です。

「労働保険概算・増加概算・確定保険料一般拠出金申告書」の書き方

上記で記入していただいた集計表の番号を、下記の画像を参照にして申告書へ転記していきます。
※労働者が全員雇用保険の被保険者である場合は、(イ)と⑦⑧⑨の部分のみ記入して下さい。

労働保険申告書

転記が完了しましたら、申告書に印字されている労災保険・雇用保険・一般拠出金の各料率を掛けて保険料を計算します。
保険料の計算が完了すると、申告書に印字されている申告済概算保険料額と確定保険料との差引額を計算します。
申告済概算保険料額のほうが多い場合は、「充当額」、少ない場合は「不足額」にその差額を記入します。

今期の納付額を入れば、労働保険申告書の完成です。

 

集計とるだけ!労働保険申告書の自動計算ツール

「とは言ってもやっぱり書き方がよくわかりません」という方もいらっしゃると思います。
そこで自動計算シートを紹介いたします。厚生労働省が提供している「年度更新申告書計算支援ツール」がベースになっています。
こちらの計算シートは労働保険料申告書と見た目が同じになっていますので、自動計算されて表示されている数値をそのままお手元の申告書に転記していただくと申告書が完成いたします。
簡単に労働保険の申告書を作ることができますので、是非とも活用して下さい。

労働保険申告書作成シート(Googleスプレッドシート版)

このシートはGoogleドライブで作成しております。
また、このシートはロックされておりますので、まず画面左上のファイルをクリックして頂き、「コピーを作成」を選択してからご利用下さい。

STEP1 集計表に入力する。

「算定基礎賃金集計表」のシートを選択して頂き、労災保険および一般拠出金(対象者数及び賃金)の欄に下記の区分で集計して合計を出します。

  • 常用労働者、パート、アルバイトで雇用保険の資格のある人
  • 役員で労働者扱いの人
  • 臨時労働者

次に、雇用保険(対象者及び賃金)の欄に下記の区分で集計して合計を出します。

  • 常用労働者、パート、アルバイトで雇用保険の資格のある人
  • 役員で労働者扱いの人
  • 免除対象高年齢労働者

STEP2 印字されているものを入力する。

「申告書記入イメージ」のシートを選択して頂き、黄色枠の②③④⑤欄に、労働保険申告書に印字されている保険率を入力します。
次に、黄色枠の⑦欄に、印字されている申告済み概算保険料額の金額を入力します。

STEP3 その他必要事項を入力する

黄色枠の①欄において、還付金の請求を「行う」か「行わない」かを選択します。還付金の請求を行う場合は、還付請求書を別途作成する必要があります。
赤枠の「充当意思」欄に「1~3」の数字を入れます。

  1. 労働保険料のみに充当
  2. 一般拠出金のみに充当
  3. 労働保険料及び一般拠出金に充当

概算保険料額が40万円以上の場合、納付を3回に分割することができます。黄色枠の⑥欄に3と入力すると分割になります。(※労働保険か雇用保険のどちらか一方の保険関係が成立している場合20万円)

使い方の説明は以上になります。
あとは、「申告書記入イメージ」のシートをそのまま労働保険申告書に転記してください。

※著しい事業規模の変更や事業を廃止している等、一部のケースでは自動計算がご利用できませんのでご了承ください。
※事業主の住所や名称などの記名押印などは実際の申告書では忘れずに記入してください。

 

まとめ

今回の記事では、労働保険申告書の書き方をご説明させて頂きました。
最後に紹介させて頂いたシートを利用することにより、簡単に労働保険申告書を作ることができます。

労働保険申告書の書き方で悩んでいる社長や経理の皆さま。
自動計算シートを活用して年度更新作業はパッとかたづけてしまいましょう。

※労働保険自動計算シートのエクセル版は厚生労働省の労働保険各種様式ダウンロードから入手することができます。こちらの年度更新申告書計算支援ツール(継続事業用)からダウンロードください。