住民税って?給与計算における住民税にかかわる経理事務

給与計算において、源泉所得税・社会保険料とならんで総支給額から控除すべきものに住民税があります。今回は給与計算における住民税にかかわる経理事務についてご説明させて頂きます。

目次

  1. 住民税ってどんな税金?
  2. 住民税の徴収・納付方法について
  3. 「住民税課税決定通知書」が届いたら
  4. 従業員さんが退職したら
  5. 住民税にかかわる経理事務まとめ

1.住民税ってどんな税金?

住民税とは、都道府県民税と市町村民税を合わせた税金を言い、地方自治体による教育、福祉等の行政サービスにかかる費用を、そこに住む人たちで所得に応じて負担しようという性格の地方税です。

個人にかかる住民税には以下のような特徴があります。

  • 前年の1月~12月までの1年間の所得を基準に税額が計算されます。
  • その年の1月1日現在に居住していた市町村に納付します。
  • 仮に1月2日以降に他の市町村に引っ越しをした場合でも、1月1日に住んでいた市町村に全額を納付する事になります。

2.住民税の徴収・納付方法について

住民税を納める方法には、「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。

「特別徴収」は、サラリーマンの住民税の徴収方法で、会社がその年の6月から翌年5月までの12回に分けて給与から天引きして、会社が納付をするという方法をいいます。
会社は、従業員さんの給与から天引きした金額を、天引きした月の翌月10日までに納付をしなければなりません。

「普通徴収」とは、個人事業主や会社勤めを退職された等給与から天引きすることができない方が納付する方法をいいます。
市町村から直接個人あてに税額通知書(納付書)が届き、年4期に分けて納付をする形になります。

3.「住民税課税決定通知書」が届いたら

給与計算において住民税にかかわる経理事務を行う必要があるのは、特別徴収の場合ですので、以下、特別徴収の場合のご説明になります。

1月の 年末調整の頃に提出した給与支払報告書(確定申告をしている人の場合は3月に提出した確定申告書)を基に、4月~5月頃住民税の額が決定されます。

5月頃、会社に従業員さんが居住している市区町村から「住民税課税決定通知書」が送られてきます。「住民税課税決定通知書」には、従業員さんごとの住民税の金額と6月から翌年5月までの毎月天引きする金額が記載されています。

6月のお給料計算からは、そこに記載されている毎月の金額を天引きして下さい。

6月に天引きした住民税の納付期限は7月10日です。それ以降、毎月10日が納付期限ですので、納付をお忘れなく!
※12ヶ月分の納付書が住民税課税決定通知書に同封されていますので、それを使用して下さい。
※または、都市銀行の特別徴収地方税納入サービスを利用すれば、毎月の納付期限に引落することもできるので便利です。

4.従業員さんが退職したら

次に、従業員さんが退職した時の処理をご説明させて頂きます。

特別徴収している従業員さんが退職した場合、「給与所得者異動届出書」を退職した従業員さんの居住している市町村に提出して下さい。

退職後、毎月住民税を徴収することができないので、異動翌月以降の残りの税額については、最後のお給料で一括徴収をするか、普通徴収に切り替えるかの手続きをしなければなりません。
異動時期と届出書の提出期限・残りの税額の徴収方法については、以下をご確認下さい。

異動事由 異動時期 給与所得者異動届出書提出期限 異動翌月以降の残りの税額の徴収方法
退職 1月1日~4月30日 異動した月の翌月10日まで 給与又は退職手当等の支払いの際に一括して徴収
6月1日~12月31日 異動した月の翌月10日まで 納税義務者に市町村から改めて残りの税額が通知され、普通徴収に切替
納税義務者からの申し出により、給与又は退職手当等の支払いの際に一括して徴収

「給与所得者異動届出書」の提出が遅れた場合、督促状等が送付される可能性がありますので、必ず提出して下さい。

5.住民税にかかわる経理事務 まとめ

もうすぐ「住民税課税決定通知書」が届く時期です。
前年の所得を基準に税額が計算されたり、引っ越しをしても1月1日現在居住していた市町村に納税したりと分かりづらい仕組みになっていますが、正しく天引き・納税して下さいね。

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