社会保険料率って?給与計算における社会保険料の計算方法

前回は給与計算の際の源泉徴収税額の確認の仕方についてご説明させて頂きました。今回は、給与計算の際の社会保険料の確認の仕方についてご説明させて頂きます。

【 目 次 】

  1. 社会保険料の種類
  2. 標準報酬月額表とは
  3. 介護保険料率の引き上げ
  4. 給与明細を作成してみよう!

社会保険料の種類

会社員としてお勤めの方は、毎月のお給料から社会保険料が天引きされているはずです。
社会保険料には種類があり、通常は下記の5つの保険料に分かれます。

  • 健康保険料
  • 介護保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 労災保険料

この内、給料から差し引かれるのが、「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」になります。
「労災保険料」に関しては、全額が会社負担になります。
「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」は、標準報酬月額により、保険料が決まっています。
平成26年度の雇用保険料の労働者負担の率は、一般の事業で5/1000、農林水産清酒製造の事業で6/1000、建設の事業で6/1000という保険料率となっております。

平成25年度の健康保険料額表はコチラ

標準報酬月額表とは

標準報酬月額とは、健康保険料・厚生年金保険料の算定の基礎となる報酬のことです。
毎年1回、4月、5月、6月の報酬の平均額を用いて決定します。7月に決定した標準報酬月額は、1年間(9月~翌年8月まで)固定されます。
報酬には、賃金・給料・手当・通勤手当など労務の対償として受け取るものすべてが含まれます。

詳しくは、「標準報酬月額の決定|9月は社会保険料の定時決定の時期です!」をご覧下さい。

随時改定が必要な場合があります!

7月に決定した標準報酬月額は1年間(9月~翌年8月まで)固定されますが、下記の条件を全て満たした場合については、標準報酬月額を7月の算定基礎を待たずに変更する必要があります。
その場合は、速やかに「被保険者月額変更届」を提出しなければなりません。

  1. 昇給、降格、固定的な手当の増加・減少等により固定的賃金に変動があった場合
  2. 変動月(支払月)からの 3ヶ月間に支給された報酬(残業手当や歩合給等の非固定的賃金を含む)の平均月額(3ヶ月の総支給額÷3)に該当する標準報酬月額と、こ れまでの標準報酬月額との間に2 等級以上の差が生じた場合
  3. 3ヶ月とも支払基礎日数が 17日以上ある場合

「標準報酬月額表」の見方

給与から天引きする保険料を計算するには標準報酬月額表を確認します。
標準報酬月額表は全国健康保険協会がホームページでも公開しています。
表から保険料を確認するには、まず標準報酬の額を確認する必要があります。
標準報酬は、事業者が算定基礎を行うことにより日本年金機構が決定します。
決定通知書が郵送されてきますのでそれを確認すると各人の標準報酬の金額が確認できます。
次に介護保険の被保険者に該当するかしないかを判定します。
これは単純に40歳未満の方は対象外(介護保険第2号被保険者に該当せず)、40歳以上65歳未満の方が対象です。

次は厚生年金保険料の見方です。
一般の被保険者か坑内員・船員(鉱山での坑内労働者・船舶乗船員等)かで区分されます。多くの方は一般の被保険者のほうに該当します。
ポイントは、

  • 決定通知書で標準報酬月額を確認する
  • 年齢から介護保険の被保険者になるかどうか判定
  • 一般の被保険者か坑内員・船員かを判定

以上の3点から標準報酬月額表から天引きする保険料を計算します。

実際に保険料額表を使って計算してみよう

例えば、算定基礎によって決定された標準報酬が300,000円の場合
(*この表は大阪の場合です。都道府県によって料率が若干異なります。)

介護保険の対象者だと、健康保険料 17,670円、厚生年金 25,680円
介護保険の非対象者だと、健康保険料 15,090円、厚生年金 25,680円の金額が給与から天引きすることになります。

22222222

*画像はクリックして頂きますと拡大できます。

3.介護保険料率の引き上げ

介護保険料は、健康保険に加入している40歳以上65歳未満の方が加入、負担する保険料です。
平成26年3月(4月納付分より)より介護保険料率が現行の1.55%から1.72%へ引き上げられます。
大阪府の場合ですと、10.06%の保険料になります。
3月のお給料から適用になりますので、支給時には注意して下さい。

このように保険料率は随時変更されることがあります。 変更になった場合は給与から天引きする金額が変わりますので注意してください。
ちなみに厚生年金保険料率は平成29年9月まで毎年引き上げられることが決まっています。

4.給与明細を作成してみよう!

「標準報酬月額表」の見方が分かったところで、実際に給与明細を作成してみましょう。

   山田太郎さん(35歳)
一般事業 扶養家族0人
給料 300,000円
通勤手当 10,000円  
   111111111

「健康保険料」「厚生年金」は、給与+通勤手当の合計 310,000円です。
4月、5月、6月分の時の給与も、同額の給与+通勤手当の合計 310,000円とします。
報酬月額は、310,000円以上~330,000円未満の範囲に当てはまりますので、7月に決定した標準報酬月額は、320,000円になります。
標準報酬月額 320,000円の欄をみますと、
「健康保険料」・・・16,096円 「厚生年金」・・・27,392円
年齢が35歳ですので介護保険料はかかりません。

雇用保険料は、一般の事業で5/1000で保険料を計算しますので、
310,000円×5/1000=1,550円

源泉所得税は、総支給額(通勤手当は含みません。)から社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)を引いた額がどの行になるか、源泉徴収税額の表「その月の社会保険料等控除後の金額」の列で、確認して下さい。
300,000円(基本給)-45,038円(社会保険料)=254,962円 「その月の社会保険料等控除後の金額」の254,000円以上~257,000円未満の6,750円になります。
これで給与の手取り金額は258,212円となります。これで給与明細ができあがりました!

源泉所得税の詳しい求め方は、「源泉所得税の甲欄乙蘭とは?源泉所得税額を自分で簡単に確認する方法」をご覧下さい。
また、給与明細のテンプレートは、コチラにございます。

社会保険料の会社負担は、
「労災保険料」に関しては、全額が会社負担。
「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」は、従業員と会社とが折半。
「雇用保険料」は、一般の事業で8.5/1000、農林水産清酒製造の事業で9.5/1000、建設の事業で10.5/1000です。

従業員を1人雇用すると、お給料以外にも社会保険料の負担は大きいです。(ざっくりでお給料+15%で考えておいていいと思います。)
社会保険料の負担分も考慮して、お給料の設定をして下さい!