消費税に関する項目は税務調査において否認が多くみられるところである。特に否認されやすい項目を中心にチェックリストをまとめたので参考にされない。また後半では平成26年4月の消費税率変更に係る項目のチェックリストも掲載した。
- 消費税税務調査対策チェックリスト
- 消費税増税に伴う調査ポイントのチェックリスト
1. 消費税調査対策チェックリスト
Ⅰ. 課税売上関係
現金等の収受がなくても課税売上高になるケースに注意。
- 法人の役員等に無償で譲渡等を行った場合に課税売上高に計上しているか
- 法人の役員等に低額(概ね50%未満)で譲渡した場合は差額を課税売上高に計上しているか
- 代物弁済による資産の譲渡を課税売上高に計上しているか
※代物弁済の課税売上の額は、代物弁済により消滅する債務の額である
課税売上高の計上漏れに要注意。
- 下請先に原材料を有償支給した場合に課税売上高に計上しているか
- 固定資産等を売却して未経過固定資産税等を収受した場合に課税売上高に含めているか
※買主から受け取る未経過固定資産税等は、固定資産等の対価の額に含まれるものである - 源泉所得税を控除した残額を収受した場合に控除前の金額で課税売上高に計上しているか
- 土地の貸付期間が1か月に満たない場合は、課税売上にしているか
※土地の貸付は非課税売上だが、貸付期間が1か月未満の場合は、非課税規定から除外され課税売上となる
Ⅱ. 課税仕入関係
- 外注費(課税)と給与支払(不課税)の区分を明確にしているか
- 出向負担金を課税仕入れにしていないか 出向負担金を課税仕入れにしていないか 出向負担金を課税仕入れにしていないか
- クレジット手数料を課税仕入れにしていないか
- 海外出張(国外分)のために支給する旅費、宿泊費及び日当を課税仕入れにしていないか
- 燃料費で軽油引取税が区分記載されいる場合は、軽油本体部分のみを課税仕入れにしているか
※特約店等で、軽油を購入した際に軽油本体に価格と軽油引取税が明確に区分されているときに課税仕入れにできるのは、軽油本体のみで、軽油引取税は課税仕入れにできない - 使途不明の交際費を課税仕入れにしていないか
- 御礼金や寄付金を課税仕入れにしていないか
- 社宅を課税仕入れにしていないか
Ⅲ. 仕入れに係る消費税の調整
- 取引先から支払を受ける販売奨励金等は、仕入れに係る対価の返還にしているか
- 調整対象固定資産については、調整対象の必要性について検討しているか
- 一括比例方式の場合は2年間以上継続して適用しているか
- 個別対応方式の場合は課税区分(課税のみ、共通、非課税のみ)を区分しているか
- 課税売上が5億円超の場合は、全額控除せずに仕入税額控除の計算をしているか
- 課税事業者になった課税期間に、期首の棚卸資産(課税)を課税仕入れにしているか
- 免税事業者になる場合の期末棚卸資産(課税)を課税仕入れから減算しているか
Ⅳ. 売上に係る対価の返還等をした場合の消費税の控除
- 免税期間の売上の返還を対価の返還等として消費税の控除をしていないか
- 課税売上と非課税売上高を一括して売上割り戻した場合に、割戻金を合理的に区分しているか
Ⅴ. 貸倒れに係る消費税の控除
- 免税期間の売掛金の貸倒れについて消費税の控除をしていないか 免税期間の売掛金の貸倒れについて消費税の控除をしていないか
Ⅵ. 簡易課税関係
- 基準期間の課税売上高は5千万円以下か
- 過去に提出した「簡易課税選択届出書」の有無を把握しているか
- 事業用の固定資産の売却を第4種事業にしているか
- 製造業でも加工賃等を対価とする役務の提供は第4種事業にしているか
- ケーキ屋などで製造した商品を直接消費者に販売する場合は、第3種事業にしているか
※製造小売業は第3種事業に該当する - 第3種事業に該当する建設業、製造業の事業で生した加工くず、副産物等の譲渡を第3種事業にしているか
- 修理業などの事業区分の判定が難しい業種については事業内容を把握して事業区分を判定しているか
- 2以上の事業を営む場合に、事業の区分及び区分記載がされているか
Ⅶ. 納税義務の免除(申告不要)
- 基準期間が免税事業者であった場合の課税売上高の判定を税込金額で判定しているか
- 基準期間が1年未満の法人は、課税売上高を年換算して基準期間の課税売上高を判定しているか
- 基準期間の課税売上高に輸出免税売上高を含めているか
- 特定期間の判定を行っているか
※特定期間の判定については国税庁HPを参照 - 新設法人には該当しないか
※基準期間が存在しない新設法人は資本金が1,000万円を超えていないなどの条件を満たすと原則的に消費税が免除される - 平成26年4月1日以後に設立する法人は、特定新規設立法人に該当しないか
- 課税事業者選択届出書を提出していないか
Ⅷ. その他
- 仕入税額控除の要件の「帳簿及び請求書等の保存」を満たしているか
- 税抜経理を採用している場合において、仮払消費税等及び仮受消費税等の清算を決算終了時に行っているか
2. 消費税増税に伴う調査ポイントチェックリスト
平成26年4月1日から消費税率が8%となった。以下は増税に伴って調査が強化されると思われるポイントのチェックリストである。
Ⅰ. 消費税増税に関するチェックリスト
- 適用日(平成26年4月1日)前後の課税売上高及び課税仕入れの時期は適正か
- 経過措置で、契約締結日以外の要件を満たしているか
- 経過措置で、契約締結日が、見積書及び注文書等の取引の流れから検討して適正であるか
- 平成26年4月1日前の売上の返還を平成26年4月1以降に行った場合に5%の消費税の控除をしているか
- 平成26年4月1日前の売掛金の貸倒れについて、5%の消費税の控除をしているか
Ⅱ. 消費税増税に関する調査ポイント
損益計上関係
- 平成26年4月1日以降に計上すべき課税売上を平成26年3月31日以前に計上することによって、増税部分を逃れていないか
※主に法人所得及び法人税額の影響のない3月決算以外の法人等が行うケースが多いが、3月決算でも赤字法人など、所得に影響があっても税額に影響がない場合は行うケースもある - 平成26年3月31日までに計上すべき課税仕入れを、平成26年4月1日以降に計上することによって8%の仕入税額控除を行っていないか
経過措置関係
- 平成25年10月1日以降に契約を締結したにもかかわらず、平成25年9月30日以前に契約締結したことに仮装して、不当に経過措置の適用を受けていないか
- 契約締結日以外の適用要件についても満たしているか