今回は、前回の「法人の税務調査対策 その1」に続き、人件費・一般管理費と仮払金の扱いについて説明していく。後半では、税務署に提出した法人税申告書等がどのように扱われるのか、その内部事情も紹介していく。
- 人件費・一般管理費
- 仮受、仮払勘定雑収入
- 税務署に提出した法人税申告書等はどのように扱われるのか?
人件費・一般管理費
人件費
税務調査官の主な調査事項
- タイムカード(出勤簿)の検討
- 作業日誌等からの検討
- 机、ロッカー、配席図からの検討
- 食事代などの徴収の有無からの検討
- 源泉徴収についても併せて検討
守る側の税務調査対策
正社員の人件費はもちろんだが、短期アルバイトなどの雑給関係は特に丁寧な税務調査対策が必要だ。短期アルバイトなどの雑給関係を架空計上しているケースが多く、調査官が特に注意して見るポイントとなっている。出勤状況から勤務状況まで調査官に説明できるようによく整理しておこう。
※雑給などを現金支給する場合は、現金と引き換えに受領印等などの受領事実を証明するものを査収したほうが、税務調査がスムーズに進行する。
一般管理費
税務調査官の主な調査事項
- 接待交際費から雑費までの一般管理費については、証票類及び費用の性質、決済状況を調べ、架空計上から損金経理の妥当性までを検討する。
守る側の税務調査対策
個人的経費と誤解されやすい支出やグレーゾーンになりそうな支出こそ、証票類の保存はもちろんのこと、損金経理の妥当性について調査官に説明できるように万全に準備しておきたい。
仮受、仮払勘定・雑収入
仮受、仮払勘定
税務調査官の主な調査事項
- 仮勘定の発生及び最終的にどの勘定に振り替わったかの確認調査が中心となる。
守る側の税務調査対策
仮勘定については、関係書類も含めて説明できるように整理しておくこと。
雑収入
税務調査官の主な調査事項
- 製造業のスクラップ収入、ダライ粉収入などの収入計上の確認は、重要調査項目である。
- リベート収入などの収入計上も調査のポイントになる。
守る側の税務調査対策
製造業のスクラップ収入等の副産物収入やリベート収入は税務調査で必ず確認される重要項目だ。確実に収入計上が行われてるかチェックすること。
税務署に提出した法人税申告書等はどのように扱われるのか?
提出された法人税申告書等は、内部担当部門でデータ入力などの処理をされた後、調査部門に回付される。そして統括官(課長級)を中心に実施される調査対象選定時に入念にチェックされる。
この調査選定で選ばれた会社が基本的には税務調査実施の候補になり、調査部門で審査される。審査には2種類あり「税務調査実施による審査」と「調査官が署内で入念にチェックを行い調査省略となる審査」がある。調査省略となっても後日問題点が認められた場合は税務調査が行われる。