ハイブリッド自動車で環境への配慮とエコに節税|環境関連投資促進税制

今回は設備投資関連税制の一つ、環境関連投資促進税制について紹介したいと思います。

この制度は一定の期間の内に、新品のエネルギー環境負荷低減推進設備等を取得、製作、建設し、1年以内に事業において使用すると優遇税制(特別償却又は税額控除)が受けられる制度です。

環境関連と聞くと、太陽光設備や風力発電設備などの特殊な機械設備などを思い浮かべますが、それだけではありません。最近、環境を配慮した車がたくさん登場していますが、そういった車を取得した時にも税金の優遇措置を受けられる場合があります。もしかしたら、購入を検討している車種は、この優遇措置の対象の資産かもしれません。

目次

  1. 環境関連投資促進税制とは?
    ・適用対象法人
    ・優遇措置の内容
    ・適用対象資産
  2. ハイブリッド自動車
  3. 手続き

 

1.環境関連投資促進税制とは?

平成23年6月30日から平成28年3月31日までの間に新品の省エネ設備や再生可能エネルギー設備等の環境に配慮した設備に投資をし、1年以内に事業の用に供した場合に特別償却又は税額控除を受けることができる制度です。(「グリーン投資減税」とも呼ばれます。)

 

この制度が使える法人は?

特別償却と税額控除のどちらを選択するかによって対象となる法人が異なります。

  • 特別償却
    青色申告書を提出する法人
  • 税額控除
    中小企業者又は農業共同組合等で青色申告書を提出する法人

※中小企業者とは、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(一定の法人除く)、もしくは資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

 

どういった優遇措置があるの?

特別償却もしくは税額控除を受けることができます。

特別償却

取得価額の30%相当額が特別償却の限度額となります。
下記の対象資産の1(平成24年5月29日から平成27年3月31日までの間に取得)、3(平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に取得)についての特別償却限度額は取得価額の全額償却(即時償却)することが可能となっています。
特別償却は早期に減価償却費を多く計上することができ、投資を行った事業年度の税金を抑える効果が期待されます。長期的には減価償却費として計上出来るトータル金額は通常の減価償却費と同じになります。

税額控除

取得価額の7%の額が税額控除限度額となり、その事業年度の法人税の額から控除出来ます。
ただし、税額控除限度額が法人税額の20%の額を超える場合には、その法人税額の20%の額が控除限度額となります。

税額控除限度額が法人税額の20%を超えて控除し切れなかった場合は1年間の繰越が認められています。

 

対象資産

対象資産は

  1. 一定の太陽光発電設備又は風力発電設備
  2. 新エネルギー利用設備等
  3. 熱電併給型動力発生設備
  4. 二酸化炭素排出抑制設備等
  5. エネルギー使用制御設備

と区分されております。詳しくは国税庁HP(4 適用対象資産)へ。

今回の記事では、最近身近になってきたハイブリット自動車を例にご説明させて頂きます。(ハイブリット自動車は④二酸化炭素排出抑制設備等になります。)

注意

  • 国等からの補助金によって取得した対象設備は対象外となります。
  • 所有権移転外リース取引で取得した設備は税額控除のみです。
  • 貸付設備は対象外です。
  • 中古設備は対象外です。
  • 国税に対する他の優遇措置を受けた場合は併用する事が出来ません。
  • 地方税に対する優遇措置の適用を受けた場合は併用出来ます。

 

2.ハイブリッド自動車

ハイブリッド自動車ならどれでもこの優遇税制の対象になるという訳ではなく、要件があります。
まず、この制度ではハイブリッド自動車は2つのタイプに分けれられています。

  1. プラグインハイブリッド自動車
  2. エネルギー回生型ハイブリッド自動車

経済産業省 資源エネルギー庁によると、対象のプラグインハイブリッド自動車は以下のもとされています。

原動機として内燃機関及びリチウムイオン蓄電池によって駆動する電動機を搭載した道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第60条第1項の規定による自動車検査証の交付を受けた同法第2条第2項に規定する自動車(次項及び11の項において「検査済自動車」という。)のうち、制動時のエネルギーの回生を行う機構及び外部から供給される電気を当該リチウムイオン蓄電池に充電する機構を有するものに限るものとし、これと同時に設置する専用の電力制御装置(制御装置、直交変換装置、充電装置、充放電ケーブル、表示操作器及び系統連系用保護装置から構成されるもののうち、充放電機能を有するものに限る。11の項において同じ。)を含む。

また、対象のエネルギー回生型ハイブリッド自動車は以下のもとされています。

原動機として内燃機関及び電動機又は油圧モーターを搭載した検査済自動車(道路運送車両法施行規則(昭和26年運輸省令第74号)別表第1に掲げる普通自動車、小型自動車及び軽自動車で、専ら人の運送の用に供する乗車定員10人以下のものを除く。)のうち、制動時のエネルギーの回生を行う機構を有するものに限る。

といったように要件が決められております。

では例えばどのような自動車が当てはまるのか気になる所ですが、ハイブリッド自動車が含まれる「二酸化炭素排出抑制設備等」には環境関連投資促進税制の対象設備と同等又はそれ以上かどうかを証明する制度があります。
※証明書は確定申告書等に添付して提出する事が出来ます。(添付は強制ではありません。)

証明団体はこちら(【別表3】二酸化炭素排出抑制設備等 証明団体一覧)をご確認ください。
また、経済産業省 資源エネルギー庁のHP(【別表3】二酸化炭素排出抑制設備等 証明制度対象設備)では、対象設備として証明されている設備を紹介しております。
※上記に記載されていない設備でも環境関連投資促進税制の対象設備となる可能性はございます。メーカー、販売店、(一社)日本自動車工業会又は日本自動車輸入組合にご確認されるのもよいかと思います。

 

3.手続き

まずは、設備が対象かどうかを確認致します。
上記の証明制度対象設備を確認するか、メーカー等に確認するのが早いです。
対象設備を取得し、環境関連投資促進税制を受けようとするには確定申告の際に、下記の書類を添付します。

特別償却の場合

別表16(9)または特別償却の付表(2)に対象設備の取得価額、控除の金額、その金額の計算に関する明細を記載したものを確定申告の際に添付します。

税額控除の場合

別表16(11)に対象設備の取得価額、控除の金額、その金額の計算に関する明細を記載したものを確定申告の際に添付します。また特別償却の付表(2)に設備の概要を記載する事も推奨されております。

この記事の執筆時点では平成23年6月30日~平成28年3月31日までに環境関連投資促進税制の対象設備を取得した日から1年以内に国内で使用を開始した事業年度が対象ですので、ハイブリッド自動車の購入を検討されている場合はこの優遇税制も念頭に入れてはいかがでしょうか。