企業やフリーランスが行うべきマイナンバー対策を詳しく解説

いよいよマイナンバーが記載された通知カードの送付が始まりました。
どうしていいかわからず不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
このエントリーでは、マイナンバーの準備から収集、破棄までやらなくてはいけないことをご紹介いたします。
チェックリストもありますので是非活用してみてください。

従業員がいないから大丈夫!と思ってるフリーランスの方もマイナンバーが関係してきます。
フリーランスの方のマイナンバーの利用についてもご紹介します。

  • マイナンバー対象業務の洗い出し・収集対象者の洗い出し
  • 従業員へ通知
  • 社内ルールを策定
  • フリーランスですが、マイナンバー制度どう関係しますか?
  • まとめ

 

マイナンバー対象業務の洗い出し・収集対象者の洗い出し

まずはどういった業務や書類がマイナンバーの記載対象になるか整理します。
以下に記載されているのが現時点で決まっているマイナンバーを記載する必要のある書類になります。

マイナンバーの記載が必要な書類

税務署等に提出する法定調書・申告書・届出等の税務関係

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得の源泉徴収票
  • 給与支払報告書
  • 支払調書、等

雇用保険、健康保険、年金等の社会保険関係

  • 雇用保険被保険者資格取得届
  • 資格喪失届等
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届・資格喪失届
  • 健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者届等
  • 労働者災害補償保険法に基づく請求に関する事務

業務や関連書類の洗い出しが終わったら、次はどの人のマイナンバーを収集する必要があるのか確認します。

マイナンバーを収集する必要がある対象者

  • 従業員(役員・パート・アルバイトを含む)とその扶養家族
    ※派遣社員の場合は、派遣元が全ての手続きを行うので、取得する必要はありません。
  • 地主・大家(個人賃貸業者)
  • 弁護士・税理士・社労士等の報酬支払先
  • 外部の報酬支払先(講師謝礼や出演料等)
  • 配当を支払う株主

 

従業員へ通知

マイナンバーを収集するには、会社が何の用途にその番号を使用するのかを従業員へ通知する必要があります。
まずは、マイナンバー制度の概要を伝えてください

マイナンバーの利用目的や、取り扱う上での禁止事項、漏えい対策の重要性などを理解してもらうことが必要です。
次に、従業員に対し、個人番号が自宅に正しく届くよう、住民登録について確認してもらってください。
通知カードは住民票の住所に簡易書留で郵送されます。
また転送してもらえないので引越しの際に住民票の移動をしていない場合は、通知カードが届かない可能性があります。
通知カードを紛失した場合、届出することによって再発行は可能ですが、個人情報の漏洩のおそれがあります。
また再発行手数料もかかってしまいます。通知カードが届いたら、大切に保管するように伝えてください。

社内ルールを策定

マイナンバーの対応は慎重に進めていく必要があります。事前に策定した社内ルールが正しく運用されているかどうか、不正や情報漏えいの恐れがないかどうかを常に確認し、必要な場合には改善をしながらより良い体制を構築していきましょう。

項目例

  • マイナンバー管理責任者、取扱担当者
  • 収集方法
  • 本人確認の方法
  • マイナンバーを記載する書類の取扱い方法
  • 保管場所・保管方法
  • 廃棄ルール
  • 紛失時の報告体制

 

管理責任者・取扱担当者

マイナンバーを取り扱う責任者および担当者は決まっていますか?
取り扱う担当者が増えれば、必然的に漏洩する危険性が高まりますから最低限の方のみ扱うようにしてください。
情報漏洩があった場合の罰則や企業リスクは非常に大きいです。
しっかりと管理できるようマイナンバー制度の実務を教育し、社内ルールを周知しましょう。

収集方法

マイナンバー収集のスケジュールを決めます。
スケジュールとあわせて、具体的な収集方法も整理してください。
収集方法としては、対面で提出してもらう、郵送やメールで収集する、従業員にシステムに入力してもらう等の方法があります。
従業員の扶養親族や、取引先の収集方法はどうするのかも決めてください。
また入退社、扶養家族に変動がある場合のマイナンバー収集ステップについても確認しておく必要があります。
従業員の場合は扶養控除申告書に記載してもらうのがスムーズですね。
収集する際には必ず利用目的を伝えてください。

そうはいってもマイナンバーの提供を拒否された場合はどうするの?

もしマイナンバーの提供を受けられない場合は、マイナンバーの記載は法律で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。
それでも提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録して単なる義務違反でないことを明確にしておきます。
なお、マイナンバー記載対象者の全てがマイナンバーを持っているとは限りませんので、マイナンバーの記載がないことで、税務署が書類を受理しないということはありません。

本人確認の方法

マインナンバーを収集する際には、なりすまし防止のために次のいずれかの方法でマイナンバーの確認と身元の確認を厳重に行う必要があります。

  • 顔写真の付いている「個人番号カード」(番号確認+身元確認)
  • 10月から届くマイナンバーが 書いてある「通知カード」(番号確認)と「運転免許証かパスポート等」(身元確認)

「個人番号カード」と「通知カード」の違いについては、「マイナンバー導入後に起業が行うことを詳しく解説」をご覧ください。

従業員とは雇用関係があるので対面して提出してもらう場合は身元確認は省略できます。
対面以外の郵送等での提出の場合は省略できません。
扶養親族の本人確認は従業員自身が行いますが、国民年金第3号被保険者届のように、手続きによっては扶養親族等のマイナンバーの取得時に会社が本人確認する必要があります。
また本人確認書類の保存は義務ではありませんので、保存しない場合、従業員等の氏名・本人確認書類の種類・本人確認した日付を記録することで本人確認をした証拠となります。

マイナンバーを記載する書類の取扱い方法

書類の取扱い方法についても決めておく必要があります。
必要な書類にマイナンバーを記載するプロセスや、実際の帳票を作成する手順を整理します。
またその手順通りに正しく運用できているかを確認し、必要な場合は改善してください。
マイナンバー関連書類作成のスケジュールも把握しておいてください。

マイナンバー記載スケジュール

税務関係では、平成28年1月以降提出してもらう扶養控除申告書からマイナンバーの記載欄を開始します。源泉徴収票へは平成28年分の給与所得から記載します。退職した従業員にも源泉徴収票を発行しますので早ければ平成28年1月からマイナンバーを記載した源泉徴収票を発行します。
雇用保険は平成28年1月以降に提出する書類からマイナンバーを記載します。
健康保険、厚生年金は1年遅れて平成29年1月以降に提出する書類からマイナンバーを記載します。ただ健康保険、厚生年金でも新規適用届等は平成28年1月から法人番号を記載して提出します。
マイナンバースケジュール

保管場所・保管方法

社内設備の見直しをしてください。
マイナンバーの記載された書類を紙で保管する場合、施錠可能なキャビネット等で保管する必要があります。この保管場所についても暗証番号や鍵を取り扱える担当者は最低限に設定しておきます。
パソコンで保存する場合、最新のセキュリティソフトに更新してください。パソコン自体もパスワードで施錠し、パソコンの配置を工夫する等周囲からマイナンバー情報が簡単に見えないような工夫をしてください。
マイナンバーの漏洩については罰則規定もあるので、マイナンバーの管理には細心の注意をしましょう。

破棄ルール

マイナンバーは、法令で定められた用途(税務や社会保障)で利用する場合に限り、保管が認められています。このため、従業員が退職する等してマイナンバーを使用する業務が終了したら、可能な限り速やかに、復元不可能な方法で廃棄する必要があります。シュレッダーにかける等マイナンバーが復元できないように破棄します。また破棄するタイミングも決めてください。
確実に破棄されたことを把握できるように、破棄した記録を保存することが重要です。

 

ここまでの、企業が行うべきことを準備~収集~破棄までをチェックリスト形式にしました。
下記からPDFファイルがダウンロードできますのでご活用ください。

 

フリーランスですが、マイナンバー制度どう関係しますか?

支払調書への記載

フリーランスの方は報酬が源泉徴収されている場合、その取引先へマイナンバー(個人番号)を通知する必要があります。
支払調書を発行してもらう際に個人番号の記載が必須になるからです。
正確には平成29年にもらう平成28年分の支払調書から個人番号を記載します。
取引先に聞かれたら伝えてください。
ここで注意していただきたいのが、源泉徴収していない取引先に通知する必要はありません。

確定申告書への記載

確定申告の際も個人番号を記載する必要があります。
平成29年3月15日までに提出する平成28年分の確定申告から記載します。
このとき、納税者本人の個人番号以外に、控除対象配偶者や扶養親族、事業専従者の個人番号も記載が必要です。
提出する際は本人確認のため次のいずれかの書類の添付が必要です。

  • 納税者本人の個人番号カードの写し
  • 納税者本人の通知カードの写し及び免許証などの写真付き本人確認書類の写し
    ※控除対象配偶者や扶養親族、事業専従者については書類の添付は必要ありません。

まとめ

将来的にはマイナンバーの利用範囲が拡大していくことも予定されており、取扱いには十分な注意が必要です。マイナンバー対応の給与ソフト等マイナンバーを管理するソフトを利用するのも検討してください。扶養控除申告書は7年間保存することとされており、原則紙で保存しなければいけませんが、税務署に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、必要な措置を講ずると電子データで保管することができます。
まずはマイナンバー制度についてしっかりと理解し、社内での取扱いについてルールを作成しまし、そして従業員にも社内ルールを周知し、情報漏洩がおきないように対策しましょう。
まだ何も決まっていないという方はチェックリストを利用してマイナンバー対策を進めてみてください。

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