提出期限迫る!法定調書合計表の書き方を詳しく解説!

税務署から年末調整の案内の封筒に入っている法定調書の提出期限が2月2日(例年は1月31日)に迫っております!

そもそも法定調書って何なん?って思われる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、法定調書の説明から、その中で主要な6つの合計表の書き方をご説明させて頂きます。

この記事を読んで頂きながら、法定調書合計表を書いて頂ければ幸いです!

  1. 法定調書とは?
  2. 法定調書合計表の書き方
    2-1. 給与所得の合計表
    2-2. 退職所得の源泉徴収票合計表
    2-3. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表
    2-4. 不動産の使用料等の支払調書合計表
    2-5. 不動産の譲受けの対価の支払調書合計表
    2-6. 不動産の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書合計表
  3. まとめ

 

1. 法定調書とは

法定調書とは、「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」及び「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定により税務署に提出が義務づけられている資料をいいます。

法定調書合計表に記載すべきものとして、主に以下の6つがあげられます。

  1. 給与所得の源泉徴収票合計表
  2. 退職所得の源泉徴収票合計表
  3. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表
  4. 不動産の使用料等の支払調書
  5. 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  6. 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

これら、法定調書合計表の提出期限は1月31日になります。これらを提出期限までに税務署長に提出しない場合や、偽りの記載をして提出した場合は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられる場合がありますので、ご注意下さい。(所得税法242条5)

以下では、その合計表の書き方を解説させて頂きます。

 

2. 法定調書合計表の書き方

各合計表の記載のしかたを説明させていただきます。
合計表に記載する金額についてですが、消費税の金額を含めた税込の金額で基本的には判断しますが、消費税及び地方消費税の額が明確に区分されている場合には、その額を含めないで判断しても大丈夫です。
その場合には、支払調書の「(摘要)」欄にその消費税等の額を記入してください。

では6つの各合計表についてみていきます。

2-1. 給与所得の源泉徴収票合計表について

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区分「A 俸給、給与、賞与等の総額」

「人員」の欄
年の途中で退職された方も含めて、1年間で給与等の支払いを受けた方の人員を記入して下さい。
一般的には作成した源泉徴収簿の枚数と一致することになります。
※丙欄適用の日雇労務者の人員は含みません

「左のうち源泉徴収税額のない者」の欄
「源泉徴収票」の「源泉徴収税額」欄の税額が0円の方の数を記入して下さい。

「支払金額」「源泉徴収税額」の欄
会社が給与等の支払いをした全ての金額及び源泉徴収税額の総額を記入して下さい。
※年の中途で就職した方が、就職前に他の支払者から支払を受けた給与等の金額及び徴収された源泉徴収税額を含めないで記入してください

区分「Aのうち、丙欄適用の日雇労務者の賃金」

上記の内、丙欄の日雇労務者へ支払った賃金の総額および源泉徴収税額を記入してください。

区分「B 源泉徴収票を提出するもの」

区分Aの内、源泉徴収票を提出するものの人員、支払金額及び源泉徴収税額を記入して下さい。
源泉徴収票を提出するものは、「年末調整をしたもの」と「年末調整をしなかったもの」によって提出要件がわかれています。
下記の条件に従って判定します。

源泉徴収票を提出するもの

年末調整をしたもの

  • 法人の役員に対する、1年の給与等の支払額が150万円を超えるもの。
  • 弁護士・司法書士・税理士等について、1年の給与等の支払額が250万円を超えるもの。
    ※所得税法204条1項第2号に規定する者
  • 上記以外の者については、1年の給与等の支払額が500万円を超えるもの。

年末調整をしなかったもの

  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した者で、1年の主たる給与等の金額が2,000万円を超えるため、年末調整をしなかった者の全て。
  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した者で、その年中に退職した者や、災害により被害を受けたため給与所得に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収の猶予を受けた者については、その1年の給与等の支払金額が250万円を超えるもの。
    ※ただし、法人の役員については、50万円を超えるもの。
  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなかった者で、給与所得の源泉徴収税額表の月額表又は日額表の乙欄または丙欄の適用者については、その年中の給与等の支払金額が50万円を超えるもの。

 

2-2. 退職所得の源泉徴収票合計表について

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区分「A 退職手当等の総額」 

退職所得の源泉徴収票合計表の欄には、退職手当や一時恩給等の支払いを受けた全ての受給者の人員、支払金額及び源泉徴収税額の総額を記入して下さい。

区分B「Aのうち、源泉徴収票を提出するもの」

源泉徴収票を提出するものは、基本的には法人の役員が退職金等を受給した場合ですので、一般従業員の分は提出する必要はありません。
また、死亡退職により退職手当等を支払った場合も、相続税で規定されている支払調書で提出しますので、提出する必要はありません。

 

2-3. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表について

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ここには、所得税法第204条1項に規定されているもので1~8号まで区分されている報酬と、同174条10号の報酬が該当します。
その該当する区分の欄にそれぞれ、人員、支払金額及び源泉徴収税額を記入して下さい。

こちらも、支払調書を提出しなければならない規定があり、提出するものは以下の5つです。

支払調書を提出するもの

  1. 作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等、弁護士や税理士等に対する報酬について、同一人に対する、1年の支払いの合計額が5万円を超えるもの
  2. 診療報酬については、同一人に対する、1年の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
  3. プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金については、同一人に対する1年の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
  4. 外交員、集金人などの報酬、バー、キャバレーなどのホステス等に支払う報酬、広告宣伝の為の賞金については、同一人に対する1年の支払金額の合計額が50万円を超えるもの。
  5. 馬主に支払う競馬の賞金については、その年中に1回の支払賞金額が75万円を超える支払いを受けた者に係るその年中のすべての支払金額

 

 2-4. 不動産の使用料等の支払調書合計表について

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こちらには、区分A使用料等の総額の欄に、1年で支払いが確定した不動産の使用料等の人員と支払金額の総額を記入して下さい。

不動産の使用料に含まれるもの

  • 土地や建物の賃借料
  • 礼金などの権利金
  • 更新料や承諾料
  • 名義書換え料
  • 船舶、航空機の借受の対価

また、催物などで一時的に会場を賃借したり、広告で塀や壁面のように建物の一部を使用する場合の賃借料についても不動産の使用料等に該当します。

これらの利用料等があれば、記入するのですが、こちらも支払調書を提出する範囲が定められております。

支払調書を提出するもの

提出範囲は、不動産の使用料等を支払った法人と不動産業者である個人の方で、
「同一人に対するその1年の支払金額の合計が15万円を超えるもの」となっております。
ただし、不動産業者である個人のうち、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる方は提出義務はありません。

※個人ではなく法人に対して家賃や賃借料のみを払っている場合は、15万円を超えていても支払調書を提出する必要がございません。権利金、更新料、名義書換え料の総額が15万円を超えていれば支払先が法人でも支払調書を提出します。

 

2-5. 不動産等の譲受けの対価の支払調書合計表について

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区分Aの「譲受けの対価の総額」の欄には、その年中に支払った譲り受けた不動産、船舶、航空機の対価、そして資産の移転に伴なって生じた各種の損失の補償金の合計額を記入下さい。
不動産等の譲受けには、売買の他、交換や競売、収用、現物出資等による取得も含まれます。

また、資産の移転に伴って生じる補償金には以下の種類があります。

  • 建物等移転費用補償金
  • 動産移転費用補償金
  • 立木移転費用補償金
  • 仮住居費用補償金
  • 土地建物等使用補償金
  • 収益補償金
  • 経費補償金
  • 残地等工事費補償金
  • その他の補償金

支払調書を提出するもの

提出範囲は、不動産等の譲受けの対価を支払った法人と不動産業者である個人の方で、
同一人に対する1年の支払金額の合計が100万円を超えるものです。
ただし、不動産業者である個人のうち、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる方は提出義務はありません。

 2-6. 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書合計表

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その年中に支払の確定した不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の合計額を記入して下さい。

支払調書を提出するもの

こちらも支払調書を提出する範囲が定められておりまして、提出範囲は、同一人に対する1年の支払金額の合計が15万円を超えるものです。

 

3. まとめ

これで、主要な法定調書の書き方をご説明させて頂きました。
提出期限までに税務署長に提出しない場合や、偽りの記載をして提出した場合は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられる場合がありますので、ご注意下さい。(所得税法242条5)

最後に、これらの法定調書の提出期限は1月31日です。
難しい内容なので、法定調書合計表の作成・提出と専門家に任せても良いかと思いますが、経理の方が作成・提出される際はぜひ期限内に提出できるようにこの記事を活用して頂ければ幸いです。