通勤手当の非課税限度額が改正により引上げられます!

平成26年10月20日に所得税法施行令の一部改正が行われ、平成26年4月1日以後、給与所得者に支給するマイカー等の通勤手当の非課税限度額が引き上げられました。

  1. 非課税限度額とは
    ・電車やバスのみを利用して通勤している場合
    ・電車やバスなどのほかにマイカーや自転車なども使って通勤している場合
    ・マイカーや自転車などで通勤している場合
  2. 改正後の非課税限度額
    ・改正後の非課税規定はいつ支払った分から適用になるか
    ・課税済みの通勤手当についての精算
  3. 非課税限度額引き上げのまとめ

 

1.非課税限度額とは

給与に加算して支給する通勤手当や通勤定期券などは、一定の限度額まで非課税となり、所得税を計算する支給額に含めなくてよいとされています。
通勤手当、通勤定期券は下記の区分に応じて非課税限度額が定められています。

電車やバスのみを利用して通勤している場合

この場合の非課税となる限度額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額です。
新幹線鉄道を利用した場合の運賃等の額も「経済的かつ合理的な方法による金額」に含まれますが、グリーン料金は含まれません。
通勤手当や通勤定期券などの金額が、1か月当たり10万円を超える場合には、10万円が非課税となる限度額となります。

電車やバスなどのほかにマイカーや自転車なども使って通勤している場合

この場合の非課税となる限度額は、次の1.と2.を合計した金額ですが、1か月当たり10万円が非課税となる限度額です。

  1. 電車やバスなどの交通機関を利用する場合の1か月間の通勤定期券などの金額
  2. マイカーや自転車などを使って通勤する片道の距離で決まっている1か月当たりの非課税となる限度額

※2.については今回の改正で非課税限度額が引き上げられています

マイカーや自転車などで通勤している場合

この場合の非課税となる限度額は、1か月当たり片道の通勤距離(通勤経路に沿った長さ)に応じて定められています。
※今回の改正で非課税限度額が引き上げられています

 

  2.改正後の非課税限度額

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改正後の非課税規定はいつ支払った分から適用になるか

平成26年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用されます。
なお、次に掲げる通勤手当については改正後の非課税規定は適用されません。

  1.  平成26年3月31日以前に支払われた通勤手当
  2.  平成26年3月31日以前に支払われるべき通勤手当で4月1日以後に支払われるもの
  3.  1.又は2.の通勤手当の差額として追加支給されるもの

課税済みの通勤手当についての精算

1.既に支払われた通勤手当について

  • 改正前の非課税規定を適用したところで所得税及び復興特別所得税の源泉徴収が行われていますが、改正後の非課税規定を適用した場合に過納となる税額は、本年の年末調整の際に精算することになります。
  • 既に支払われた通勤手当が改正前の非課税限度額以下である人については、この精算の手続は不要です。
  • 年の中途に退職した人など本年の年末調整の際に精算する機会のない人については、確定申告により精算することになります。

2. 年末調整の際における精算の具体的な手続きについて

  1. 既に改正前の非課税規定を適用したところで所得税及び復興特別所得税の源泉徴収をした(課税された)通勤手当のうち、改正後の非課税規定によって新たに非課税となった部分の金額を計算します。
  2. 「平成26年分給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿」の「年末調整」欄の余白に「非課税となる通勤手当」と表示して、1.の計算根拠及び今回の改正により新たに非課税となった部分の金額を記入します。
  3. また、源泉徴収簿の「年末調整」欄の「給料・手当等」欄には、「給料・手当等」欄の「総支給金額」の欄の金額から2.の新たに非課税となった部分の金額を差し引いた後の金額を記入します。
  4.  以上により、改正後の非課税規定によって新たに非課税となった部分の金額が、本年の給与総額から一括して差し引かれ、その差引後の給与の総額を基にして年末調整を行います。

 

3.非課税限度額引き上げのまとめ

電車やバスなどのほかにマイカーや自転車なども使って通勤している場合、 マイカーや自転車などで通勤している場合は、改正後の非課税限度額を確認し通勤手当の金額を算定してください。

1か月当たりの非課税となる限度額を超えて通勤手当や通勤定期券などを支給する場合には、超える部分の金額が給与として課税されます。源泉所得税の計算には注意してください。

非課税通勤手当は、所得税の計算をする支給額に含まれませんが、社会保険料の標準報酬月額には含まれますのでご注意を!!