年末調整で必要な資料と手続きを動画で詳しく解説!

年末調整の時期が近づいてきました。
扶養控除申告書など、年に一度しか記載しないので忘れてしまいますよね。

今回の記事では年末調整で記載が必要な扶養控除申告書」「保険料控除及び配偶者特別控除申告書の記載方法を動画でわかりやすく解説させていただきます。

また、控除証明や住宅借入金等の年末残高の計算明細書などの所得控除や税額控除を受ける際に必要になってくる証明書のチェックリストもダウンロード可能です。

チェックリストを活かして、年末調整で控除漏れをなくして損しないようにご活用ください。
また年末調整担当の方は自社の年末調整業務がスムーズにいくようご活用いただければと思います。

  1. 年末調整とは
  2. 所得控除と税額控除
    2-1.所得控除の種類と準備するもの
    2-2.年末調整準備チェックリスト
  3. 扶養控除等申告書、保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書の書き方
    3-1.「扶養控除等申告書」の書き方
    3-2.「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」の書き方
  4. 年末調整で受けることのできる所得控除一覧
  5. 年末調整で必要な資料と手続き まとめ

1.年末調整とは

給与を支払う際は、所得税および復興特別所得税の源泉徴収(天引き)を行っています。 1年間に源泉徴収した所得税とその人が納めるべき所得税は必ず一致するわけではありません。 その人が納めるべき所得税を計算してその差額を調整(還付または徴収)する作業を年末調整といいます。 年末調整の計算の流れ

  1. その年の1月1日から12月31日までの間に支払うべきことが確定した給与の合計額から給与所得控除の額を控除します
  2. 扶養控除などの所得控除の金額を計算し、その額を差し引きます
  3. 2.で計算した金額の1,000円未満を切り捨て、該当する所得税率を掛けて税額を計算します
  4. 住宅借入金特別控除などの税額控除がある場合には3.の税額からこれを差し引きます
  5. 4.で計算した金額に102.1%を掛けて100円未満を切り捨てた金額がその人納めるべき所得税額となります

この流れの中で支払うべき給与の額は会社で把握しているので、従業員の方に確認しないといけないのは扶養控除などの所得控除の内容と住宅借入金特別控除などの所得控除の項目になります。 これらは従業員の方から資料を準備していただくことになります。 次の項目では所得控除と税額控除の種類や用意すべき資料について解説いたします。

2.所得控除と税額控除

所得控除と税額控除の違いは名称のとおり所得控除は所得金額から差し引く金額であり、税額控除は所得税から直接差し引く金額という違いがあります。

両方とも所得税額を低くしてくれるものなので控除項目に該当する方はきちんと資料を用意しないと不要な税金を支払うことになります。 所得税の計算のしかたは、

(収入-必要経費-所得控除)×所得税率=所得税
 所得税 - 税額控除 = 納めるべき税額 となります。

所得控除や税額控除の金額が大きいほうが税金が低くなることがわかります。

※年末調整は所得税の金額を計算しますが、この結果は住民税にも連動しますのできちんと控除しないと住民税も高くなってしまいます。

2-1.所得控除の種類と用意するもの

年末調整においてもれなく所得控除を受けるために用意するものは3種類あります。

  1. 扶養控除申告書に必要事項を記載する
  2. 保険料控除申告書に必要事項を記載する
  3. 控除証明書が必要なものは郵送されてきたものを会社に提出する

2-2.年末調整準備チェックリスト

控除にかかる書類がきちんと用意されれば年末調整業務はスムーズにすすみます。 従業員の方がきちんと用意できるように年末調整準備チェックリストを作成しました。

こちらを印刷して確認しながらチェックしていただくと従業員の方もスムーズに用意できますのでご活用ください。

checklist

年末調整準備チェックリスト

3.扶養控除等申告書、保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書の書き方

2.で年末調整において準備するものとして扶養控除等申告書と保険料控除申告書兼配偶者控除特別控除申告書があります。 これらの書類がきちんと記載されていないと受けるべき控除が漏れてしまい、不要に税金が高くなってしまう場合もあるのでここではこれらの書類の書き方について動画を使って説明させていただきます。

3-1.「扶養控除等申告書」の書き方

扶養控除等申告書は扶養状況を会社に申告するための書類です。 従業員は以下のいずれかの場合に会社に扶養控除等申告書を会社に提出する必要があります。

  • 雇用された時
  • 扶養親族に異動があった時
  • 年始の最初の給与の支払を受け取る時まで

扶養控除控除申告書の書き方はこちらの動画を参考にしてください。
※文字が小さいので全画面視聴を推奨いたします

扶養控除等申告書は国税庁のサイトからもダウンロードすることができます。
「平成30年扶養控除等申告書」
「平成29年 扶養控除等申告書」
詳しくはコチラを!

3-2.「保険料控除兼配偶者特別控除申告書」の書き方

保険料控除申告書兼配偶者控除申告書はその年の従業員の生命保険料控除や地震保険料控除、その他控除を申告する書類となっております。 従業員はその年の最後の給与の支払を受ける時までに会社に提出することになっております。

その年において生命保険料などを支払っていたので控除がある方はこちらのスライドを参考にして記載してください。

保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告は国税庁のサイトからもダウンロードすることができます。
「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」のダウンロード

4.年末調整で受けることのできる所得控除一覧

年末調整で受けることのできる所得控除について紹介したいと思います。 それぞれの所得控除を受けるための要件等は準備チェックリストに記載しておりますのでそちらを参考にしてください。

  1. 配偶者控除
    所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には一定の金額の所得控除を受けることができます。
    ・一般の控除対象配偶者 38万円
    ・老人控除対象配偶者  48万円
    ※老人控除対象配偶者とはその年の12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。
  2. 配偶者特別控除
    配偶者の所得が38万円を超えるので配偶者控除を受けられない時でも、配偶者の所得によっては一定の金額の所得控除を受けることができます。
    ・配偶者特別控除の金額 3万円~38万円(所得によって変動)
  3. 扶養控除
    所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合には一定の金額の所得控除を受けることができます。
    ・一般の控除対象扶養親族 38万円
    ・特定扶養親族 63万円
    ・老人扶養親族 同居老親等以外の者 48万円
    ・老人扶養親族 同居老親等 58万円
    ※特定扶養親族とはその年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人
    ※老人扶養親族とはその年12月31日現在の年齢が70歳以上の人
    ※同居老親等とは老人扶養親族のうち、自身か配偶者の直系の父母、祖父母等で常に同居している人
  4. 生命保険料控除
    一定の生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合には一定の金額の所得控除を受けることができます。 控除の金額は支払った保険料によって変動します。
    ①一般の生命保険料控除 最大5万円
    ②介護医療保険料控除 最大4万円
    ③個人年金保険料控除 最大4万円 生命保険料控除の金額は①+②+③で最大12万円となります。
  5. 地震保険料控除
    特定の損害保険契約等にかかる地震等損害部分の保険料を支払った場合には一定の金額の所得控除を受けることができます。 控除の金額は支払った保険料によって変動します。 また経過措置として平成18年12月31日までに契約した一定の長期損害保険については地震保険料控除の対象とすることができます。
    ①地震保険料控除 最大5万円
    ②旧長期損害保険料控除 最大1万5千円 地震保険料控除の金額は①+②で最大5万円となります。
  6. 社会保険料控除
    自身又は自身と生計を一にする配偶者やその他の扶養親族が負担すべき社会保険料を支払った場合にその支払った金額の所得控除を受けることができます。 社会保険料とは、主に国民健康保険料や国民年金が対象となります。その他対象となる社会保険料はこちらをご確認ください。 社会保険料控除には上限はないのでその年に支払った金額の全額が控除対象となります。
  7. 小規模企業共済等掛金控除
    小規模企業共済契約の掛金確定拠出年金の個人型年金の掛金および心身障害者扶養共済制度の掛金を支払った場合に受けることができます。 小規模企業共済等掛金には上限がないのでその年に支払った金額の全額が控除対象となります。
  8. 障害者控除
    自身または控除対象配偶者や扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には一定の金額の所得控除を受けることができます。
    ・一般の障害者 27万円
    ・特別障害者 40万円
    ・同居特別障害者 75万円
    ※障害者控除の対象となる人の範囲はこちらをご確認ください。
  9. 寡婦(寡夫)控除
    自身が所得税法上の寡婦(寡夫)に該当する場合に一定の金額の所得控除を受けることができます。
    ・寡婦(寡夫) 27万円
    ・特別の寡夫 35万円
  10. 勤労学生控除
    自身が所得税税法上の勤労学生に該当する場合に一定の金額の所得控除を受けることができます。
    ・勤労学生控除 27万円

 

 5.年末調整で必要な資料と手続き まとめ

年末調整準備チェックリストを使っていただき、資料が揃えば年末調整の作業はスムーズに完了いたします。「扶養控除申告書」「保険料控除申告書」自体の書き方について動画をご覧になっていただければ作成することができます。

所得控除の内容(金額や要件など)については”年末調整で損しない!漏れなく控除を受けきる5つのテクニック”でも詳しく解説いたしております。
あわせてこちらもスタッフの方に読んでいただければ経理担当者の方ご自身の手間も減らせるかと思いますのでぜひご活用ください。