大阪府も導入する宿泊税について詳しく解説!

平成28年1月、大阪府は、府内で営業するホテルや旅館の宿泊客に課税する「宿泊税」を平成29年1月に導入する方針を決めました。
その背景として、大阪府への観光客が大幅に増加しており、今後も東京オリンピック等を控え、さらなる観光客の増加が進むと見込まれる中、将来的に観光を大阪の経済を牽引する成長産業としていくためには効果的な誘客、観光資源づくりなど、積極的に推進する必要があり、一定の財源を安定的、継続的に確保するために導入されるというものがあります。

ここでは、宿泊税の概要やその会計処理など詳しく解説していきます。

  1. 宿泊税とは
  2. 宿泊税の税額は?どれくらい払うの?
  3. 宿泊業者が行う徴収方法と納税時期
  4. 宿泊税について経理担当者が行うべき会計処理と注意点
  5. まとめ

 

1. 宿泊税とは

宿泊税とは、世界有数の国際都市を目指し、都市の魅力を高めるとともに観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため(法定外目的税)という目的があります。
日本では既に、東京都が平成14年10月から実施しており課税対象になるのは、旅館業法に規定するホテル営業又は旅館営業の許可を受けてこれらの営業を行うホテル又は旅館です。
民宿やペンションなどは通常は課税対象にはなりませんが、これらの許可を得て営業している場合には課税対象になります。

 

2. 宿泊税の税額は?どれくらい払うの?

宿泊税は、1人当たり1泊の「室料」+「サービス料」が10,000円以上(税抜)の宿泊代に対して課税され宿泊者が宿泊業者に支払います。
なので10,000円未満(税抜)の宿泊代に関しては課税されません。
ちなみに食事の料金は課税の対象になりません。いわゆる素泊まりの宿泊代が対象で、例えば、上司と部下の出張で2人で1室に宿泊する場合は、1人あたりの宿泊代に換算して10,000円以上か未満かで課税されるかどうかを判断します。
平成29年1月より実施される大阪府の宿泊税額は以下の通りです。

宿泊料金(1人1泊) 税額
10,000円以上15,000円未満 100円
15,000円以上20,000円未満 200円
20,000円以上(大阪府のみ) 300円

現在すでに宿泊税がスタートしている東京都と比較すると20,000円以上の区分が設けられています。

 

3. 宿泊業者が行う徴収方法と納税時期

宿泊者から支払われた宿泊税は特別徴収の方式をとります。
ホテル、旅館等の宿泊業者がいったん宿泊者から徴収して、一括して都道府県に納税します。
納税時期は、「前月分を当月末までに申告して納入」すると定められています。

 

4. 宿泊税について経理担当者が行うべき会計処理と注意点

ここでさらに注意が必要なのは、会社の出張等で大阪府内や東京都内に宿泊した場合の消費税の仕入税額控除についての取り扱いです。
例えば、大阪府内のホテルに会社の出張として1泊した場合で考えていきます。
1泊12,960円のホテルに泊まった場合、これまでの処理としては、

借方 貸方
旅費交通費(課税) 12000円 現金・預金 12,960円
仮払消費税 960円

と仕訳を切ればよかったのですが、平成29年1月からはこの12,960円に100円の宿泊税が課税されますので合計13,060円の支払いになります。
今までどおり13,060円という合計額を全額消費税の課税処理をしてしまうと誤った処理になります。
宿泊税については消費税はかかりませんので、100円分は仕入税額控除の対象となりません。
以下のような仕訳で処理しておかないと決算期末等に慌てて修正する必要があります。

借方 貸方
旅費交通費(課税) 12000円 現金・預金 13,060円
仮払消費税 960円
租税公課(不課税) 100円

このように消費税の「消費税区分」についても注意が必要です。

 

5. まとめ

宿泊税として課税される税金はかなり限定的で、それほど大きい額ではありません。
しかし出張が多い場合などに処理する数が多くなると処理が煩雑になり、誤って課税取引として計上してしまうことも考えられます。
そうすると仕入税額控除が過大になってしまい、消費税を過少に申告することで税務調査時等に指摘されると修正する必要があります。
経理担当者の方は大阪府内や東京都内での出張がある場合等、注意して処理を行ってください。