税務署の若手調査官たちは、経験こそ及ばないもののその手強さは決してベテランにひけをとるものではない。今回はそうした若手調査官がいかに注意すべき存在であるかをご紹介する。後半では会社設立時のアドバイス等について纏めてみた。
- 経験の浅い若手調査官も要注意!?
- 会社設立時のアドバイス
- 会社設立の届出書を税務署に提出しなかったら?
参考……税務調査が行われなかった会社等の申告書?
1. 経験の若手調査官も要注意!?
若手調査官は基本に忠実である
ベテラン調査官のように経験豊富ではないが、調査マニュアル等に沿って基本に忠実に税務調査を実施して手抜きはしない。
若手調査官は現金監査や現況調査を必ず行う
ベテラン調査官の中には、効果が少ないと思われる場合は現金監査や現況調査を省略している者も少なくはない。特に事務机および金庫の中を確認する現況調査は、調査を受ける側とトラブルになることもあるので行わないケースも多いが、若手調査官はイレギュラーなケースを除いて必ず現況調査を行う。
※現金監査及び現況調査の詳細は「元税務調査官が語る「税務調査のあらまし」を参照のこと。
若手調査官はガムシャラ派が多い
若手調査官の多くは、税務調査時の疑問点についてガムシャラに追及し、決して妥協しない。経験が少ない分失敗も少ないので、失敗を恐れて尻込みすることがないからだ。
若手調査官は上司(統括官)への復命も確実に行う
調査官にとって調査先から帰署後に行う上司(統括官)への復命は非常に負担である。なのでベテラン調査官の中には、曖昧で上司から突っ込まれそうな事項については復命せずに、確実な事項のみを復命する者も少なくはない。
しかし、若手調査官の大半は曖昧な事項も含めて包み隠さず上司に復命するため、上司からの指示等は質と量とも多くなり、調査される側にとっては厄介である。
若手調査官には上司以下の部門メンバーが後方支援
経験の浅い若手調査官には、上司(統括官)も調査復命以外で丁寧に指導するとともに、部門の上席調査官以下の先輩たちも事あるごとに親身に相談に乗る。税務調査に若手調査官が来た場合は統括官を含めた部門メンバーが後方に控えていることを念頭に置いて調査対応をすべきである。
2. 会社設立時のアドバイス
フリーランスからの会社設立
元税務調査官からのアドバイス
- フリーランス時代の預金口座を廃止して、得意先に粘り強く決済方法の変更を依頼する。
- 個人預金口座に入金された場合は、個人預金口座から会社名義の個人預金口座への振替処理及び売上計上処理を確実に行う。
脱サラからの会社設立
元税務調査官からのアドバイス
- 仮払金などは、その都度精算するとともに支出した際の領収証等の証憑類の保存もしっかりと行う。
- 社長のみで会社業務の全般を行っている場合は、経理事務に専念する時間をつくる。
留意事項
- サラリーマン時代に経理経験のない場合は、経理知識を習得する。
- 納税資金を念頭において、資金繰りを計画する。
3. 会社設立の届出書を税務署に提出しなかったら?
税務署に会社の存在がバレないか?
税務署は法務局などで会社設立の情報を把握しているため、届出書を提出しないからといってバレないわけではない。
会社設立の届出書を税務署に提出しなかった場合リスクはあるか?
青色承認申請書などの特典を受けるための書類を提出できない。
無申告の会社に対する税務調査
税務署の調査担当の調査官は、無申告の会社に対する調査(簡易調査を含む)件数を割り振られ、積極的に調査を行っている。また、無申告の会社に対する資料情報も蓄積している。
参考……税務調査が行われなかった会社等の申告書?
税務調査を実施しなかった法人の申告書については、調査官が、署内にて申告書審査を行い、問題があると認められる法人については、後日、税務調査が実施される。
※申告書審査の際に勘定科目内訳明細書等の申告書添付書類から資料情報の収集も行われる。