元税務調査官の税務調査対策リスト(日常業務編)

税務調査対策は毎日の積み重ねが肝心。そこで守る側の経理担当者が日常業務でチェックすべき事項についてリスト化してみた。後半では日常業務におけるワンポイントアドバイスもまとめている。

  1. 日常業務チェックリスト
    Ⅰ. 売上関係
    Ⅱ. 仕入、外注費関係
    Ⅲ. 棚卸計上関係
    Ⅳ. 人件費、一般管理費関係
    Ⅴ. その他
  2. 日常業務におけるワンポイントアドバイス

 

1. 日常業務チェックリスト

Ⅰ. 売上関係

  • 請求漏れはないか。
  • 納品書や作業日報等の売上関係資料等と請求内容は照合確認済みか。
  • 発行した領収証(控)と売上計上額は照合済みか。
  • 未回収の売掛金の管理は適正か。
  • 入金時の経理処理は適正か。
  • 原価の関連から売上計上を確認したか。
  • 前受金がある場合の経理処理漏れはないか。
  • 値引き、返品ある場合の経理処理漏れはないか。
  • スクラップ等の副産物の雑収入計上は適正か。
  • 決算期末において帳端分の売上計上漏れはないか。

 

Ⅱ. 仕入、外注費関係

  • 仕入、外注費の証憑類の保存は確実に行っているか。
  • 証憑類を紛失した場合は、速やかに支払先に証憑類の再発行を依頼しているか。
  • 現金支払の場合は領収証等の保存を確実に行っているか。
  • 支払先からの請求書等の訂正事項が発生した場合は、支払先に必ず訂正した請求書の再発行を依頼しているか。
  • 仕入値引き等がある場合は経理処理漏れはないか。
  • 買掛金の管理は適正か。
  • 仕入、外注費計上済分で引渡し及び役務の提供が未完了であるものの有無を確認しているか。

 

Ⅲ. 棚卸計上関係

  • 日常の在庫管理は行っているか。
  • 在庫の保管場所の把握漏れはないか。
  • 預け在庫の管理は日常から確実に行っているか。
  • 不良品などで廃棄した在庫については、廃棄記録(写真含む)を作成しているか。

 

Ⅳ. 人件費、一般管理費関係

  • タイムカード及び出勤簿等の勤務状況資料は作成しているか。
  • 給与計算資料及び源泉徴収関係資料の保管は適正か。
  • アルバイト及びパートなどの源泉徴収は適正か。
  • 一般管理費の証憑類の保存は確実に行っているか。
  • 旅費規定作成を含めた旅費精算は適正にしているか。
  • 備品等を購入した場合の資産計上または費用計上の判定は適正か。
  • 修繕費と資本的支出の判定は適正か。
  • 役員等の個人的な支出と誤解されやすい経費については、支出時に帳簿の備考欄などに使途等をメモしているか。

 

Ⅴ. その他

  • 現金残高と現金出納帳残高とは常に一致しているか。
  • 現金入出金の際の経理処理は適正か。
  • 現金出納帳残高がマイナスになることはないか。
  • 仮払金の精算処理は適正か。

 

2. 日常業務におけるワンポイントアドバイス

Ⅰ. 社長個人の個人預金口座に売上代金等が振り込まれた場合

フリーランスから会社設立した場合に起こりやすいケース。設立前からの取引先の中には設立後もフリーランス時代の振込口座である社長個人預金口座に振込んでしまうところがある。

元税務調査官からのアドバイス

  • 個人預金口座に入金された場合は、個人預金口座から会社名義の個人預金口座への振替処理及び売上計上処理を確実に行う。
  • 相手先に会社名義の預金口座への振込を依頼する。

 

Ⅱ. 香典などの領収証が発行されない支出について。

元税務調査官からのアドバイス

  • 現金出納帳や総勘定元帳などの帳簿に、日付・相手先・場所などの詳細を記載することによって費用計上する。
    ※葬儀の礼状などがある場合は保管する。

 

Ⅲ. 決算期末直近に資産計上すべき機械を購入した場合。

決算期末までに機械等を購入していても事業に供していなければ減価償却することができない。

元税務調査官からのアドバイス

  • 日常的に業務日報を作成している場合は、機械の使用開始日と作業の詳細を記載して使用開始日を明確にする。
  • 日常的に業務日報を作成していない場合は、機械の使用開始日に「使用状況書等」を作成して、使用開始日と作業の詳細を記載して保管する。