免税店制度の手続きについて解説|インバウンドを見逃すな!

2014年に日本を訪れた外国人旅行者は1341万3600人(推計)を記録し、前年比29.4%増加し、2年連続で最高を更新しました。

2015年度の税制改正においても、手続委託型輸出物品販売場制度が創設(商店街やショッピングセンター等の特定商業施設内で免税手続きを代理者に一括で引き受けさせること)され、外国人旅行者に対する事業を後押しする形になっています。

そこで、外国人旅行者向けの消費税免税店制度について解説していきます。

  1. 消費税免税店制度とは
  2. 消費税免税店制度を受けるための要件
  3. 免税店になるための許可要件
  4. 免税手続き(書類作成・保存について)
  5. 免税店シンボルマークについて
  6. まとめ

消費税免税店(輸出物品販売場)制度とは

免税店を経営する事業者が、外国人旅行者などの非居住者に対して通常生活の用に供する物品を一定の方法で販売する場合には、消費税が免除されます。
また、輸出物品販売場における免税の適用を受けるためには、一定の方法により販売し、購入者誓約書を7年間保存する必要があります。

 

消費税免税店制度を受けるための要件

では、消費税免税店制度を受けるためには、どのようにすればよいのでしょうか?

以下、5つの要件を満たすことで、消費税免税店制度を受けることができます。

  1. 場所:「輸出物品販売場」の許可を受けた店舗での販売であること。
  2. 販売相手:「非居住者」※に対する販売であること。
  3. 物品:次の3つの条件を満たす物品に限られること。
    1. 通常生活の用に供されるものであること
    ※非居住者が事業用又は販売用として購入することが明らかな場合は免税対象外
    2. 同一の非居住者に対して、同一店舗における1日の一般物品の販売合計額が1万円を超えること。
    3. 同一の非居住者に対して、同一店舗における1日の消耗品(食品類、飲料類、たばこ、薬品類、化粧品類、その他消耗品)の販売合計額が5千円を超え50万円までの範囲であること。
  4. 手続き:「輸出免税物品購入記録票」を作成し、旅券等に割印すること、「購入者誓約書」に免税物品を購入する非居住者の署名を受け、7年間保存すること。
  5. 輸出:非居住者は、出国の際に、「輸出免税物品購入記録票」を税関に提出し、購入した免税物品を携帯して国外に持ち出すこと。

※「居住者」と「非居住者」
消費税免税店制度を受けるためには、非居住者に対する販売であることとされています。居住者と非居住者とは以下のような者をいいます。
「居住者」とは…
国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいいます。
「非居住者」とは…
「居住者」以外の個人のことを「非居住者」とします。

 

免税店(輸出物品販売場)になるための許可要件

免税店として認められるためには、一般型輸出物品販売場を経営しようとする事業者の納税地を所轄する税務署に対し、「輸出物品販売許可申請書」を提出する必要があります。
ただし、許可を受けるためには、下記の要件を満たす必要があります。

消費税免税店(輸出物品販売場)の許可要件

  1. 販売場の所在地が「非居住者の利用度が高いと認められる場所」であること。
  2. 販売場が「非居住者に対する販売に必要な人員の配置」及び「物的施設(例えば非居住者向特設売場等)を有する」ものであること。
  3. 申請者が許可申請の日から起算して過去3年以内に開始した課税期間の国税について、その納税義務が「適正に履行されている」と認められること。
  4. 申請者の「資力及び信用が十分」であること。
  5. 前各号(1~4)のほか許可することにつき特に不適当であると認められる事情がないこと。

 

免税手続き(書類作成・保存について)

免税店は、免税販売する際に「購入記録票」を作成する必要があります。また、購入者は「購入者誓約書」を免税店に提出する必要があります。
これらは、特定の様式はなく、記載すべき事項のみを定めています。

※品名等を記載した明細書等を購入記録票等に貼付・割印することにより、明細書等に記載された事項については、購入記録票等の記載を省略することができます。

《購入記録票及び購入者誓約書に記載すべき事項》

記載すべき事項 購入
記録票
購入者
誓約書
1. 購入者の氏名、国籍、生年月日、在留資格及び上陸年月日
2. 購入者の所持する旅券等の種類及び番号
3. 消費税免税店を経営する事業者の氏名又は名称
4. 消費税免税店を経営する事業者の納税地及び所轄税務署名、
消費税免税店の所在地
5. 購入年月日
6. 品名、品名ごとの数量及び価額、物品の価額の合計額
7. 購入後において、輸出することを誓約する旨(消耗品の場合、
購入した日から30日以内に輸出することを誓約する旨)及び購入者の署名

 

免税店(輸出物品販売場)のシンボルマークについて

免税店シンボルマークをご存知でしょうか?
免税店シンボルマークとは、店頭等に提示することで、外国人旅行者に対して日本の免税店についての識別性の向上と利便性の向上を図るために、観光庁により、運用されているものです。

《対象者》

免税店(輸出物品販売場)の許可を得ている事業者の方

《申請方法》

申請方法には所定の資料をWEBから、または郵送のどちらかで提出いたします。

提出資料

  1. 免税店シンボルマーク使用申請書(別記様式第1-1号)
  2. 免税店一覧(別記様式1-2号)
  3. 輸出物品繁盛許可書の写し

1. WEBページからアカウントを登録して申請

免税店シンボルマーク申請」はこちらのリンクから。

免税手続きカウンターシンボルマーク申請」はこちらのリンクから。

2. 郵便、持参
別記様式第1-1号、第1-2号にご記入の上、輸出物品販売場許可書の写しを添付して、免税店シンボルマーク申請事務局宛にご提出下さい。
※各種様式はこちらの「免税シンボルマーク・免税手続きカウンターシンボルマーク使用要領」に添付されています。

《申請先》

免税店シンボルマーク申請事務局

住所
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-3-13 大橋ビル4F
TEL 03-6367-5698
FAX 03-6384-0530
平日10:00~18:00

まとめ

昨今の日本では、外国人旅行者の増加と政府の後押しもあり、ますますインバウンドビジネスに注目が集まっています。

平成26年10月の免税対象品目の拡大、平成27年4月にも免税手続きカウンター制度が導入され、免税店制度は、活用しやすくなっております。
対象品目の拡大が図られましたが、地方の民芸品や伝統工芸品といったものは、単価は2,000円~3,000円などのものが多く、一般物品の最低購入額である10,000円に満たないものが多く、課題として残っている部分もあります。
平成28年の税制改正では、この最低購入金額を10,000円超から5,000円以上に引き下げるという案もでています。

今後も制度が拡充されていく流れの中で、事業者の方においては要件には注意していただき、制度の活用を行っていただければと思います。