まかないの提供は現物の給与にあたるって知ってましたか。

働いている従業員やバイトの方に食事を補助することがあると思います。
居酒屋などの飲食店なら”まかない支給”をアピールポイントとして採用募集しているところもよくみかけます。
では、まかない支給に税務上の規定があるのはご存知でしょうか。
今回は、従業員さんに食事を提供する際の税務上の会計処理についてご説明させていただきます。

目次

  1. まかない支給の要件
  2. 金銭で支給する場合
  3. まとめ

 

基本的な考え方として、従業員さんへの食事の提供は”現物支給の給与”として課税します。
ただ、下記の要件を2つとも満たす場合には非課税とすることができます。

1.まかない支給の要件

  1. 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
  2. 次の金額が1か月当たり3,500円

(消費税及び地方消費税の額を除きます。10円未満は切り捨て)以下であること。
※(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
※食事の価額とは
① 弁当などを取り寄せて支給している場合は、業者に支払う金額
② 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額
この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が給与として課税。
(引用:No.2594 食事を支給したとき)

【例】弁当や契約食堂での食事の提供
・食事の価額           500円(税抜)
・役員や使用人が負担している金額 300円
・1か月における弁当の提供をした日数 20日

上記の場合、(1)は満たしますが、1か月当たりに使用者が支給した食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が4,000円ですので、(2)の要件を満たしません。
つまり、4,000円が給与として課税されます。
要件を満たそうとするなら、”役員や使用人が負担している金額”を325円以上にして、1か月あたりの会社負担額を3500円以下にする必要があります。

2.金銭で支給する場合

では、現物ではなく、金銭で食事を補助する場合。
金銭支給の場合は、この2パターンに分けて考える必要があります。
①使用者と飲食店の間の契約により使用人等の食事代を使用者が飲食店に支払う場合
②使用人等が飲食店に食事代を支払い、使用者が現金で食事代を補助する場合

①使用者と飲食店の間の契約により使用人等の食事代を使用者が飲食店に支払う場合
ここで重要なのは、使用者がお金をお店に払うという点です。
使用人がお店と直接お金のやり取りをしない、かつ【要件】を満たしていれば非課税にすることができます。

②使用人等が飲食店に食事代を支払い、使用者が現金で食事代を補助する場合
①とは違い、使用者が一旦全額を払って、後に使用者に請求するパターンです。
この場合、【要件】を満たしていたとしても補助をする全額が給与として課税されます。
(引用:使用者が使用人等に対し食事代として金銭を支給した場合)

ただ、深夜勤務社や残業、宿直をした人に対する食事支給は、例外として扱われます。
この場合、実務的な部分や、残業等の時間外勤務をしたことに対する実費弁償的なものである点をが考慮されます。
この場合は、無料で食事を支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。
また、夜食を支給するのではなく、現金で夜食代の補助をする場合、1食当たり300円以下であれば、非課税とすることができます。
(引用:深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭に対する所得税の取扱いについて)

3.まとめ

*勤務時間内における食事の支給

1)現物支給
⇒要件を満たせば非課税

2)金銭支給
・使用者と飲食店の間の契約により使用人等の食事代を使用者が飲食店に支払う場合
⇒要件を満たせば非課税
・使用人等が飲食店に食事代を支払い、使用者が現金で食事代を補助する場合
⇒課税

*残業等における食事の支給

3)現物支給
⇒非課税

4)金銭支給
・残業をした者が自分で食事を購入などして、事後的に実費精算した場合
⇒実態として、支給する食事と同視しうるものは非課税
・深夜勤務者に支給する1回あたり300円(税抜)以下の食事補助
⇒非課税

要件を満たし、給与非課税の場合

【例】弁当や契約食堂での食事の提供
・食事の価額           500円(税抜)
・役員や使用人が負担している金額 350円
・1か月における弁当の提供をした日数 20日

この場合の会社の処理としては、社内売上「7,000円(税抜)」(課税売上)の処理をします。
使用人側が負担した、10,000円は会社側の福利厚生費となります。

 

今回は、食事を提供する際の税務上の会計処理についてご説明させていただきました。
もし、知らずに給与課税になってしまうと扶養の範囲ギリギリで働いているバイトさんやパートさんに迷惑をかけてしまうことになりかねないので注意が必要です。