海外取引(輸出、輸入)に関する消費税の会計処理まとめ

海外取引の会計処理で頭を抱え込んだ事はありませんか。
この取引には消費税がかかってるのかな?税関で支払った消費税はどのように会計処理したらいいのか、など戸惑っている方もいると思います。
今回はそういった方のために海外取引における会計処理についてご説明させていただきます。

  1. 輸出時の消費税の会計処理
  2. 輸入時の消費税の会計処理
  3. 輸出業者はどうして消費税が還付されるの?
  4. 輸出入がある場合の期末在庫のとらえ方
  5. 海外取引(輸出、輸入)に関する消費税の会計処理まとめ

 

1.輸出時の消費税の会計処理

国内で商品などの売買取引をする場合、消費税はつきものですが、その販売が輸出取引に当たる場合は、消費税が免税となります。輸出取引とは、商品の輸出や国際輸送、国際郵便、国際電話などです。

例えば、A社が国内業者B社から10,800円で商品を仕入れ、海外業者C社に15,000円で輸出した場合、A社の会計処理は以下のようになります。

①国内取引
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②輸出取引(免税取引)
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通常国内取引の売上であれば仮受消費税が発生しますが、輸出売上の場合は免税となるため発生いたしません。

 

2.輸入時の消費税の会計処理

消費税は、通常国内取引にかかりますが、輸入取引に関しても保税地域から引取る際に消費税を課税することが法律で定められています。

例えば、A社が海外業者B社から商品を10,000円で仕入れ、通関業者C社に2,720円を支払った場合、A社の会計処理は以下のようになります。

輸入取引(課税貨物の場合)

①海外業者への支払
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②通関業者への支払

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※1通常、輸入取引をした場合、通関業者などが代行して税関の手続きをしてくれます。
通関前の不課税分、通関後の課税分があるので請求書を確認し区別して下さい。

※2B社から購入した商品に対する輸入消費税を代行して申告してくれています。
単純に仕入金額に税率を乗じて計算されるのではなく「輸入消費税=(CIF価格+関税+消費税以外の個別消費税)×消費税率」といった計算方法で算出されます。
このCIF価格とは、輸入した商品の取引価格に、輸入港までの海上運賃や海上保険料を合計した金額をいいます。
この時の仮払消費税は直接国に支払っているものなので、消費税清算の際「課税貨物に係る消費税額」として取り扱います。
課税仕入れとして計算してしまわないよう気を付ける必要があります。

 

3.輸出業者はどうして消費税が還付されるの?

まず消費税の計算の仕組みを簡単に説明させていただきます。
通常、消費税の納税額の計算方法は、「預かった消費税」-「支払った消費税」=「消費税の納税額」となります。
「支払った消費税」のほうが多い場合は納税額がマイナスとなり、その分の消費税が還付されます。
消費税は国内における商品の販売やサービスの提供に課税されます。
輸出取引は輸出免税となり、課税の対象ですが税率が0%となりますので「預かった消費税」の金額は0となります。
ですので、「支払った消費税」がある場合は税務署に申告することにより消費税が還付となります。

下記は売上が国内と輸出とあった場合の還付額の計算例です。
税務署に申告することにより、1,720円が還付されます。
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消費税の申告は通常年1回行いますが、課税期間の短縮を選択することで1月または3月ごとに申告を行って還付を早く受けることができます。
課税期間の短縮を行うためには所轄の税務署長に対して届出書を提出する必要があります。

 

4.輸出入がある場合の期末在庫のとらえ方

期末在庫を計上するには、その資産の引渡し日がいつであるかを判定基準として考えます。
引渡し日は、出荷日、相手の検収日等、複数のとらえ方がありますが、その中から合理的かつ継続出来るものを選択しなくてはなりません。
海外取引でも同様に引渡し日を基準とします。貿易取引条件により引渡し日が変わります。
貿易取引条件とは、輸送形態や海上および内陸水路輸送の規則で、売主・買主間の物品の引渡しであったり、役割、費用の負担をまとめた取引条件です。

今回はFOB(本船渡)の例を使い説明します。

期末日に商品20,000円分が本船に積込まれているがまだ未着となっている場合

買主(国内業者)は、本船に積込まれた時点で引渡しとなるため資産計上します。
特に規定はありませんので、合理的かつ継続出来るものを選択して下さい。
また、消費税は保税地域から引取る際に発生しますので、来期以降の計上となります。
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5.海外取引(輸出、輸入)に関する消費税の会計処理まとめ

海外取引では消費税の取り扱いに注意が必要です。まちがった会計処理をしてしまうと納税(もしくは還付)すべき消費税額に狂いが生じてしまいます。
下記ポイントを押さえることで、正しい会計処理を行いましょう。
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