住宅取得資金贈与非課税や住宅ローン控除|住宅に関する優遇措置まとめ

平成27年度税制改正大綱では、消費税増税をにらみ住宅購入を促進する内容になっています。
そんなマイホーム購入に関する節税方法やお得な情報をご紹介します。

  • 購入前のメリット:住宅取得資金の贈与の非課税枠について(贈与税の節税)
    ○受贈者(もらう側)の要件
    ○資金の要件
    ○居住用家屋の要件
    ○増改築の要件
    ○非課税の限度額
    ○適用期限
  • 購入後のメリット:税額控除、給付金について(所得税、住民税の節税)
    ○住宅ローン減税
    ○投資型減税
    ○すまい給付金

 

●購入前のメリット
住宅取得資金の贈与の非課税枠について(贈与税の節税)

まずは住宅購入の資金についてです。
父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、居住用家屋を取得または増改築した場合、一定の要件を満たすと贈与税が非課税になります。

詳しく要件をみてみましょう。

○受贈者(もらう側)の要件

次の要件の全てを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。

  1. 次のいずれかに該当する者であること。
    ・贈与を受けた時に日本国内に住所を有すること。
    ・贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないものの日本国籍を有し、かつ、受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
    ・贈与を受けた時に、日本国内に住所も日本国籍も有しないが、贈与者が日本国内に住所を有していること。
  2. 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。
    なお、直系卑属とは子や孫などのことですが、子や孫などの配偶者は含まれません。
  3. 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
  4. 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。

 ○資金の要件

受贈者が、自分の居住用家屋を新築または購入するための資金、または居住用家屋を増改築するための資金です。
新築・購入・増改築とともに土地や借地権を取得する場合は、その資金も該当します。
資金贈与された年の翌年3月15日までに新築される場合は、先行して取得した土地や借地権の資金も含まれます。

○居住用住宅の要件

居住用家屋とは、次の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。

  1. 家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下であること。
  2. 購入する家屋が中古の場合は、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
    ・耐火建築物である家屋の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
    ・耐火建築物以外の家屋の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されたものであること。
    ・地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、一定の「耐震基準適合証明書」、「住宅性能評価書の写し」又は既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類により証明されたものであること。
  3. 床面積の1/2以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。

○増改築の要件

対象となる増改築等とは、受贈者が日本国内に所有し、かつ自分の居住用家屋に行われる増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替その他の工事のうち、次の要件を満たすものをいいます。

  1. 増改築等の工事に要した費用が100万円以上であること。
    なお居住用部分の工事費が全体の工事費の1/2以上でなければなりません。
  2. 増改築等後の家屋の床面積の1/2以上に相当する部分が専ら居住の用に供されること。
  3. 増改築等後の家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下であること。

○非課税の限度額

平成27年度税制改正大綱で拡大され、消費税増税の前後の駆け込み需要を調整する内容になっています。

非課税限度額

※「良質な住宅用家屋」とは?
省エネルギー対策等級4(平成27年4月以降は断熱等性能等級4)または耐震等級2以上もしくは免震建築物に該当する住宅用家屋をいいます。さらに、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋および高齢者等配慮対策等級3以上に該当する住宅用家屋も追加されました。

また、増改築等の範囲には、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事および給排水管または雨水侵入防止工事が加えられました。

消費税増税の半年前に契約しておけば、住宅の引渡しが増税後になっても、増税前の消費税率が適用されるため、平成28年9月30日までに契約し、引渡しが半年後になっても消費税8%で購入できます。この間は非課税枠は小さくなっています。
逆に、平成28年10月1日以降に契約すると消費税10%が適用されるため、購入が減少することが予想されるため、非課税枠が拡大されています。

○適用期限

適用期限は、平成31年6月30日まで延長されました。

●購入後のメリット
税額控除、すまい給付金について(所得税、住民税の節税)

住宅関連の減税、給付金についても平成27年度税制改正大綱で延長や拡充されています。

○住宅ローン減税

年末の住宅ローン残高の1%、最大50万円まで所得税額を控除できます。10年間継続して控除を受けることができ、また、所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税からも控除できます。

要件としては、

  • 住宅ローンの借入期間が10年以上
  • 自らが居住するための住宅であること
  • この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下であること
  • 床面積が50㎡以上であり床面積の1/2以上が専ら自己の居住の用に供するものであること

などです。

中古住宅でも控除を受けられますが下記追加要件あります。

  • 建築後使用されたものであること
  • 次のいずれかに該当する住宅であること
    ・マンションなどの耐火建築物の建物の場合には、その取得の日以前25年以内に建築されたものであること
    ・耐火建築物以外の建物の場合には、その取得の日以前20年以内に建築されたものであること
    ・上記に該当しない建物の場合には、一定の耐震基準に適合するものであること
  • 取得の時に生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者などからの取得でないこと
  • 贈与による取得でないこと

増改築の場合の要件は下記になります。

  • 自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること
  • 次のいずれかの工事に該当するものであること
    ・増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
    ・マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
    ・家屋(マンションなどの区分所有建物にあっては、その人が区分所有する部分)のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事(上記に該当するものを除く)
    ・建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事
    ・一定のバリアフリー改修工事(上記に該当するものを除く)
    ・一定の省エネ改修工事(上記に該当するものを除く)
  • 工事費用の額が100万円を超えており、その1/2以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること
  • 借入期間が10年以上
  • 居住の用に供した年とその前後2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと

 

計算方法、控除限度額は下記になります。

住宅ローン

※認定住宅とは?
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に該当する認定長期優良住宅
「都市の低炭素化の普及の促進に関する法律」に該当する認定低炭素住宅をあわせたもの。

※特定取得とは?
住宅取得価額に含まれる消費税が8%または10%であること。

○投資型減税

住宅ローンを組んでない方でも使える節税対策があります!現金取得者向けの優遇措置として、長期優良住宅や低炭素住宅を取得した場合、一般住宅から認定住宅に性能を強化する「標準的なかかり増し費用」の10%を、所得税から控除する減税措置です。1年で控除しきれない場合、翌年の所得税からも控除できます。

要件は、

  • 現金取得
  • 自らが居住するための住宅であること
  • この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下であること
  • 床面積が50㎡以上であり床面積の1/2以上が専ら自己の居住の用に供するものであること
  • 認定住宅の新築又は建築後使用されたことのない認定住宅の取得であること

などです。

居住の用に供した年が 平成26年4月1日から平成29年12月31日まで の場合

  • 対象となる認定住宅:認定長期優良住宅、認定低炭素住宅
  • 標準的なかかり増し費用:1㎡当たり定められた金額(43,800円) × 認定住宅の床面積
  • 標準的なかかり増し費用の限度額:650万円
  • 控除率:10%

となります。それ以外の年度はコチラ:国税庁ホームページ

 

○すまい給付金

住宅ローン控除では、住宅ローンの借入額が少ない方や、所得税額が少ない方は、あまりメリットがありません。そのため、平成26年4月から年収510万円以下の方を対象に、収入と取得住宅の持ち分割合に応じて、給付金が支払われます。これが「すまい給付金」です。新築住宅だけでなく、中古住宅も対象で、現金取得の場合も利用可能です。

対象者:

  • 不動産登記上の持分保有者
  • 住民票において取得した住宅への居住が確認できる者
  • 収入が一定以下の者
  • 住宅ローンを利用しないで住宅を取得する現金取得者については、年齢が50才以上の方

給付対象となる住宅の要件:

  • 引上げ後の消費税率が適用されること
  • 床面積が50㎡以上
  • 第三者機関の検査を受けた住宅であること
  • 新築住宅で現金取得の場合は、フラット35sと同等の基準を満たす住宅であること
  • 中古住宅の場合は、売主が宅地建物取引業者であること

給付額:

  • 給付額=給付基礎額×持分割合

給付基礎額(消費税8%の場合)

給付基礎額

以上いかがでしたでしょうか?住宅は、人生でもっとも高い買い物になる方が多いと思いますが、優遇措置を活用したいですね。