賞与の社会保険料|賞与支払届の提出忘れていませんか?

賞与を支給したときには、社会保険の手続きとして賞与支払届を提出しなければいけません。今回は、賞与支払届についてご説明させて頂きます。

  • 賞与支払届とは
  • 賞与の範囲は
  • 提出時期について
  • 賞与支払届の書き方
  • 会計税務上の取扱い
  • まとめ

 

賞与支払届とは

賞与(ボーナス)を従業員や役員に支給すると、被保険者賞与支払届により賞与の支給額等を管轄の年金事務所又は事務センターに、支給日から5日以内に提出する必要があり、届出内容により標準賞与額が決定され、これにより賞与の保険料が決まります。

将来受給する年金額の計算の基礎となりますので忘れずに提出しましょう。

賞与の範囲は

労働者が労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のものです。
なお、年4回以上支給されるものは賞与ではなく標準報酬月額の対象とされます。
つまり、○○手当として給与と一緒に支給をしているかどうかではなく、年間に4回以上支給しているかどうかで賞与として判定するのでご注意ください。

賞与にかかる保険料は、賞与額から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に健康保険、厚生年金保険の保険料率をかけて計算し、事業主と被保険者が折半で負担します。

標準賞与額には上限があるので注意

健康保険では年度の累計額540万円(年度は毎年4月1日から翌日3月31日まで)
※累計額が540万円を超えたことがわかった場合は、健康保険 標準賞与額累計申出書を提出します。

厚生年金保険は1か月あたり150万円
※同月内に2回以上支給されるときは合算した額で上限額が適用されます。

例えば役員の事前確定届出給与を活用し賞与の社会保険の限度額以上の賞与を支給することで、年間で支給する役員報酬の金額は変えずに負担する社会保険料の負担を減らすことも可能です。
※事前確定届出給与についてはこちらの役員報酬の記事をご参照ください。

提出時期について

賞与を支給した支給日より5日以内に被保険者賞与支払届および、被保険者賞与支払届総括表を所定の年金事務所又は事務センターに提出します。

※賞与計算の締日で計算するのではなく、支給日を基準にしていますのでご注意ください。

 賞与支払届の書き方(記載例)

 

shouyosiharaitodokekinyuurei (1)

日本年金機構よりに賞与支払予定月の前月に、被保険者の氏名、生年月日等を印字されたものが郵送されてきます。
上段の④賞与支払年月日に記入した場合は、被保険者(AからJ欄)毎に④賞与支払年月日は記入する必要はありません。
㋓現物によるものの額(食事、住宅、被服など通貨以外で支払われたもの)については厚生労働大臣が定める価額によって算定した額を記入します。

【参考】都道府県別現物給与の価額一覧表(平成27年4月1日時点)

※70歳以上の被保険者を常時雇用されている場合は、厚生年金保険70歳以上被用者 算定基礎・月額変更・賞与支払届を提出します。

また、紙ではなく電子媒体(MO、CD、DVD)、電子申請により提出することもできます。

電子媒体で提出する場合

日本年金機構がホームページで提供している『届書作成プログラム』をダウンロードして賞与支払届を電子媒体で作成し提出できます。
※日本年金機構ホームページ 届出作成プログラム仕様書ダウンロード

 電子申請で提出する場合

被保険者賞与支払届を電子申請により提出する場合は、下記のホームページより手続きが出来ます。
→電子政府の総合窓口 e-Gov[イーガブ]
※e-Govサイトは総務省が運営する各種電子申請等を扱うサイトです。各種届出を扱っているので使い方がわかりにくい方もおられます。下記の日本年金機構の電子申請ページに電子申請を行うためのマニュアルがありますのでそちらを先にご確認いただくとスムーズです。

電子申請ができる届出一覧や、添付書類の取扱い、マニュアルのダウンロードなどが行えます。
→日本年金機構ホームページ 電子申請ページ

会計税務上の取扱い

賞与に係る社会保険料は賞与を支給した月に会社が負担する社会保険料が発生したと認識します。
そのため、利益が多く出た事業年度に決算賞与を年度内に支給した場合は、賞与に係る社会保険料をその事業年度に未払費用として計上することができます。

決算賞与の金額だけでなく未払の社会保険料を計上することで会社の利益を抑えることもできますので、決算賞与の支給時期にはご留意ください。
但し、決算賞与と社会保険料の支払いで会社の資金の流出額は増えますので、利益だけでなく会社の資金繰りも含めて決算賞与については検討をしてください。

まとめ

賞与支払予定月以外に賞与を支払いしたときも被保険者賞与支払届の提出が必要です。賞与なのか標準報酬月額に含まれるのか間違えずに届出を行う必要があります。

賞与支給日より5日以内と提出までの期間が短いですが、支払届の記載内容は同様ですので被保険者賞与支払届と被保険者賞与支払届総括表を所定の年金事務所又は事務センターに忘れずに提出しましょう。

また、賞与の社会保険料は仕組みを理解することで会社も個人も負担しなければいけない社会保険料の削減にも活用できますので、賞与や手当の支給時期を検討する際には社会保険料についても検討していただけると幸いです。