今回は1月31日提出期限の「償却資産申告書」の書き方や「償却資産税」の概要について紹介したいと思います。
書き方については記載例を用意していますので参考にしてもらいながら記載、提出まで解説してまいりますので、最後まで読んでみて下さい。
- 償却資産とは
- 償却資産税の概要
- 申告書の書き方
- 提出方法
1. 償却資産とは
償却資産とは、個人及び法人で 事業の用に供することができる資産をいい 、毎年1月1日現在所有する土地及び家屋以外の資産の事をいいます。
固定資産とどう違うの?というと、土地及び家屋、償却資産を全部ひっくるめたのが固定資産といい、土地及び家屋以外の資産を償却資産と呼んでいます。
土地及び家屋については、事業をしていないサラリーマンでも固定資産税を支払わないといけませんが、償却資産は上記でも記載しましたように事業を営んでいる個人と法人が支払う税金となっております。
2. 償却資産税の概要
2-1. 申告対象となる資産と対象にならない資産
償却資産には申告の対象となる資産と対象にならない資産があります。
対象となる資産
- 構築物・・・舗装路面、門・弊等の外構工事、受変電設備、浄化槽設備、内装・内部造作など
- 機械及び装置・・・各製造設備等の機械、太陽光発電設備など
- 船舶・・・ボート、漁船、遊覧船など
- 航空機・・・飛行機、ヘリコプター、グライダーなど
- 車両及び運搬具・・・大型特殊自動車(フォークリフト、レッカー、ブルドーザーなど自動車税及び軽自動車税の課税対象以外)など
- 工具、器具及び備品・・・パソコン、コピー機、LAN設備、厨房機器、冷蔵庫、医療機器、理容、美容器具、自動販売機など
対象とならない資産
- 自動車税、軽自動車税の課税対象となるもの(自動車、小型フォークリフトなど)
- 無形固定資産(電話加入権、ソフトウエア、特許権など)
- 繰延資産
- 棚卸資産
- 取得価格20万円未満のもので3年間で損金(経費)に計上したもの(一括償却)※減価償却で損金(経費)にしたものは申告対象となりますのでご注意ください。
上記は一例ですので、上記に記載が無く分からない場合はお住まいの市町村にお問い合わせ下さい。
2-2. 計算方法
計算方法は、旧定率法の償却率を基に資産1つごとに計算し評価額を計算します。国税の減価償却の計算とは異なりますのでご注意ください。
旧定率法の減価率表はこちら
※全国共通ですので東京都主税局のホームページより
●前年中に取得した資産
取得価格×(1-耐用年数に応ずる減価率×1/2)=評価額
※初年度については取得月に関わらず半年償却(2分の1償却)を行います。
●前年以前より取得した資産
前年度における評価額×(1-耐用年数に応ずる減価率)=評価額
3. 申告書の書き方
申告書には次の3つがあります。
初めて申告される方と、前年以前より申告される方と少し違いますのでご注意ください。
- 償却資産申告書
- 種類別明細表(増加資産・全資産用)
- 種類別明細表(減少資産用)
3-1. はじめて申告される方
申告する資産がある場合
- 申告対象:1月1日現在に所有するすべての償却資産
- 提出資料:償却資産申告書、種類別明細書(増加資産・全資産用)
●償却資産申告書の記入方法
下記の画像に、対応する番号を記載していますので参考にしてください
- 「①」所有者の情報を記入下さい。
- 「②」会社の情報を記入下さい。
- 「③」該当する所に〇で囲んで下さい。
- 「④」『前年中に取得したもの(ハ)』、『計((イ)-(ロ)+(ハ)) (ニ)』のみ記入して下さい。
※『前年中に取得したもの(ハ)』の合計金額が、種類別明細書(増加資産・全資産用)の合計金額と一致しなければなりません。 - 「⑤」同市内に2つ以上の所在地がある場合記入して下さい。
- 「⑥」リース資産の有無を○で囲み、リース資産が有る場合は貸主の名称と住所を記入して下さい。
- 「⑦」事業所用家屋の所有区分について該当する方を○で囲んで下さい。
●種類別明細書(増加資産・全資産用)の記入方法
- 「①」会社名を記入して下さい。
- 「②」前年中に増加した資産を記入して下さい。
※償却資産申告書の『前年中に取得したもの(ハ)』の合計金額と一致しなければなりません。
申告する資産がない場合
- 提出資料:償却資産申告書
●償却資産申告書の記入方法
下記の画像に、対応する番号を記載していますので参考にしてください
- 「①」所有者の情報を記入下さい。
- 「②」会社の情報を記入下さい。
- 「③」該当する所に〇で囲んで下さい。
- 「④」同市内に2つ以上の所在地がある場合記入して下さい。
- 「⑤」事業所用家屋の所有区分について該当する方を○で囲んで下さい。
- 「⑥」備考欄に『当該資産なし』と記入して下さい。
3-2. 前年度申告されている方
- 申告対象:前年中の増加資産及び減少資産、前年度まで申告もれになっていた資産
- 提出書類:償却資産申告書、種類別明細書(増加資産・全資産用)、種類別明細書(減少資産用)
●償却資産申告書の記入方法
下記の画像に、対応する番号を記載していますので参考にしてください
- 「①」所有者の情報を記入下さい。
- 「②」会社の情報を記入下さい。
- 「③」該当する所に〇で囲んで下さい。
- 「④」該当する全ての取得価格を記入して下さい。
※『前年前に取得したもの(イ)』の合計金額が、種類別明細書(増加資産・全資産用)の前年前に取得した資産の合計金額と一致しなければなりません。
※『前年中に減少したもの(ロ)』の合計金額が、種類別明細書(減少資産用)の合計金額と一致しなければなりません。
※『前年中に取得したもの(ハ)』の合計金額が、種類別明細書(増加資産・全資産用)で増加した資産の合計金額と一致しなければなりません。 - 「⑤」 同市内に2つ以上の所在地がある場合記入して下さい。
- 「⑥」リース資産の有無を○で囲み、リース資産が有る場合は貸主の名称と住所を記入して下さい。
- 「⑦」事業所用家屋の所有区分について該当する方を○で囲んで下さい。
- 「⑧」該当する所に〇で囲んで下さい。
●種類別明細書(増加資産・全資産用)の記入方法
下記の画像に、対応する番号を記載していますので参考にしてください
- 「①」会社名を記入して下さい
- 「②」前年前に取得した資産を記入して下さい。
※償却資産申告書の『前年前に取得したもの(イ)』の合計金額と一致しなければなりません。 - 「③」前年中に増加した資産を記入して下さい。
※償却資産申告書の『前年中に取得したもの(ハ)』の合計金額と一致しなければなりません。
●種類別明細書(減少資産用)の記入方法
下記の画像に、対応する番号を記載していますので参考にしてください
- 「①」会社名を記入して下さい
- 「②」前年中に減少した資産を記入して下さい。
※償却資産申告書の『前年中に減少したもの(ロ)』の合計金額と一致しなければなりません。
4. 提出方法
- 提出期限:1月31日 土・日の場合は翌開庁日
- 提出先:事業所がある市町村
- 提出方法:郵送若しくは、窓口へご持参
今回のブログは手書きでの申告方法について記載しましたが、eLTAXを使った電子申告の方法もあります。こちらを使うと郵送、窓口への持参をする手間がはぶけるので、興味のある方は是非eLTAXでの申告にもチャレンジしてみて下さい。