- 賞与とは?
- いつ、いくら支給すればいいの?
- 賞与の計算方法
- 賞与の支給額を実際に計算!
賞与とは
「定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額があらかじめ確定されていないもの(昭22.9.13 発基17号)」をいいます。ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支払われるものがこれに当たり、支給の有無や金額は原則として自由に定められます。
※ただし、役員への賞与については、一定の要件を満たさなければ、(税務上)経費として認められないため、自由に支給することはできません。
いつ、いくら支給すればいいの?
「社長が従業員ごとに、その都度金額を決めて支給」するのも悪くはありません。しかし支給できない経営事情があった場合に合理的な対処が難しくなります。また基準が明らかでなく、公平性を欠くため労働者のやる気の減退につながるほか、様々なトラブルの要因にもなります。
具体的には、就業規則に支給基準を規定しておくことが必要です。定めるべき項目としては、
- 支給にかかる査定対象期間
- 査定方法
- 支給方法
- 支給期日
- 支給対象者などです。
賞与の計算方法
賞与額が決まれば、次は会計処理についてみていきましょう。
- 健康保険料(介護保険料)
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 源泉所得税
(1)~(3)の金額を計算しないと、計算できませんので、必ず最後に行って下さい。)
(1)~(4)を、賞与額から控除した金額が、従業員の手取り額となります。
※保険料(源泉所得税を除く。)については、会社と従業員の折半になりますので、従業員から徴収する保険料とほぼ同額を会社も負担することになります。
健康保険料(介護保険料)厚生年金保険料
計算方法:賞与額を基準として、保険料額表により保険料を求めます。
※保険料額表は都道府県によって異なります。
こちらをご参考下さい。
賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額(標準賞与額)に「健康保険料」「厚生年金保険料」の率を掛けて計算します。表の一番上の部分にそれぞれの料率が記載しています。ただし、この率は会社負担分・従業員負担分を合わせた率となっているので、この率を掛けて1/2した金額を賞与から徴収します。
※健康保険料の欄にある介護保険料負担者は、40歳以上65歳未満(具体的には、40歳の誕生日の前日が属する月から介護保険料が徴収されます。)
雇用保険料
計算方法:賞与額×5/1,000(農林水産・清酒製造の事業・建設の事業の方は、6/1,000)
※こちらは毎月の給与から控除するのと同じです。
※健康保険料等と同様、会社負担分あります。 詳しくはこちらをご覧ください。
源泉所得税
計算方法:
①前月の給与を基に、賞与の源泉徴収率を求めます。(前月の給与です!)
前月の給与-(前月の健康保険料+前月の厚生年金保険料+前月の雇用保険料)で求めます。
その金額と扶養親族等の数を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて税率を求めます。
※算出率の表
②今回、支給する賞与額を基に、源泉所得税額を求めます。
賞与額ー((賞与額を基礎として求めた(1)の健康保険料・厚生年金保険料+(2)の雇用保険料)×①の率
賞与の支給額を実際に計算!
【例】東京都にあるA社は、平成25年4月、Bさん(35歳で扶養親族なし)に賞与20万円を支払う場合
補足資料:Bさんの前月の給与給料は30万円
(1)まず、賞与にかかる健康保険料・厚生年金保険料から
保険料額表の東京を選択⇒東京都は、健康保険料率9.97%・厚生年金保険料率17.120%
Bさんの健康保険料 200,000円×9.97%×1/2=9,970円
厚生年金保険料 200,000円×17.120%×1/2=17,120円
(2)次に、賞与にかかる雇用保険料
200,000円×5/1,000(※の事業の方は6/1,000)=1,000円
(3)最後に、賞与にかかる源泉所得税
①賞与の源泉徴収税率を求めます。
a.300,000円-(14,955円(健康保険)+25,680円(厚生年金)+1,500円(雇用保険))=257,865円
※前月の給与で計算して下さい。
b.「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」より賞与の金額に乗ずべき率は6.126%
②の計算
{200,000-(9,970+17,120+1,000)}×6.126%=10,531円
※賞与額で計算して下さい。
よって、Bさんの賞与の手取額は……
200,000-(9,970+17,120+1,000+10,531)=161,379円となります。
ちなみに……
会社の負担額(賞与200,000の場合)は
健康保険料+厚生年金保険料+雇用保険料(8.5/1,000)
9,970円+17,120円+1,700円=28,790円になります。
最後に…
賞与を支払うときは、支給日より5日以内に「賞与支払届」を所轄の年金事務所に届け出て下さい。