住民税とは?計算方法や納付方式、納税の仕方について

住民税は、道府県税と市町村税の総称で、道府県民税や事業税、地方消費税、不動産取得税、固定資産税など地方公共団体が徴収する様々な税金のことを指します。今回は、お給料から差し引かれたり、ご自身で前年の所得に応じて納める所得割と均等割り(個人住民税)についてご説明させて頂きます。

  1. 個人住民税とは
  2. 住民税の計算方法
  3. 住民税の納付方式
  4. 住民税(特別徴収)の納税の仕方
  5. 特別徴収している際の特殊な取扱い
  6. 住民税の納付が遅れたときの取扱い

1. 個人住民税とは

個人住民税の課税主体(税金を課す主体で、個人住民税の支払先)は、1月1日の住所地の市区町村と都道府県になります。従って、年の途中で引越しても個人住民税の支払先は変わりません。

課税方式は、所得税の申告納税方式(納税者自らが申告し税額を決定する方式:年末調整は会社が計算してくれますが、納税者本人が扶養控除申告書や保険料控除申告書を提出することで計算するので申告納税方式となります)とは違い、賦課課税方式(課税主体が勝手に計算する)が採用されています。

また、課税標準(課税される対象)が、前年の所得金額となっているため、転職して翌年の給料が下がった場合や給料を減額された時にはキツイ税金となっています。ただし、退職等特別の事情により個人住民税の全額負担に堪えることが困難だと認められる場合には、申請により減免・免除されることがあります。

※申請しなければ減免・免除されることはなく、申請期限を過ぎても✕です。

個人住民税の減免・免除の要件(大阪市の場合)

  • 生活保護法の規定による扶助など受けている場合
  • 失業した場合
  • 所得が前年の6割以下に減少すると見込まれる場合
  • 障害者、未成年者、寡婦に該当する場合
  • 災害などによる被害を受けた場合

詳細についてはお住まいの市町村にお問い合わせください。

2. 住民税の計算方法

個人住民税は、所得割と均等割りからなっており、均等割りの標準税率は、

  • 道府県民税  1000円
  • 市町村民税  3000円

となっています。標準税率は、通常はこの税率でいきましょうというものなので、各自治体の財政状況や必要に応じて若干金額は変わります。
※東日本大震災からの復興を図ることを目的として、平成26年度~35年度までの10年間は、道府県民税と市町村民税にそれぞれ500円(合計1000円)加算されます。

そして、所得割は先ほども記載させていただいたように、前年の所得が課税標準となり、税率は、

総合課税分(お給料や事業所得など)

  • 道府県民税 4%
  • 市町村民税 6%
  • 合計     10%

分離課税分(長期譲渡所得など)

  • 道府県民税 2%
  • 市町村民税 3%
  • 合計       5%

となっております。

住民税の課税標準の計算方法

総所得金額(給料や事業所得など)-所得控除(給与所得控除や社会保険料控除など)=課税標準
この課税標準に上記税率を乗じたものから税額控除※1を控除したものが、所得割となり、均等割りと合わせて納付することになります。
住民税の所得控除は、国税の所得控除とは若干違いますので下記の表を参照して下さい。

※1 税額控除
住民税の税額控除は、配当控除、外国税額控除、寄付金税額控除(ふるさと納税など)、住宅ローン控除などがあります。

各種所得控除 地方税 国税
給与所得控除 地方・国ともに同じ。国税庁の給与所得控除を参照
社会保険料控除 地方・国ともに同じ。給料から控除された社会保険料など年中に支払った額が控除になります。
小規模企業共済等掛金控除 地方・国ともに同じ。年中に支払った小規模企業共済や401Kの掛け金が控除になります。
生命保険料控除 最大7万 最大12万
配偶者控除 33万(70歳以上の配偶者38万) 38万(70歳以上の配偶者48万)
配偶者特別控除 最大33万 最大38万
扶養控除 33万
(特定45万、老人38万、同居老親45万)
38万
(特定63万、老人48万、同居老親58万)
地震保険料控除 最大2.5万 最大5万
障害者控除 26万(特別30万、同居特別53万) 27万(特別40万、同居特別75万)
寡婦控除 26万(特別寡婦加算+4万) 27万(特定の寡婦35万)
勤労学生控除 26万 27万
基礎控除 33万 38万

※代表的な所得控除を上げてます。他にも所得控除はありますのでご注意下さい。

3. 住民税の納付方式

個人住民税は、前年の1月1日~12月31日の所得(課税標準)に、税率を乗じた所得割と均等割りを1月1日の居住地の市区町村及び都道府県に6月から納付を開始します。納付方式は、普通徴収と特別徴収がありそれぞれについて説明させて頂きます。

普通徴収

フリーランスの方や家賃収入などがありご自身で確定申告されてる方は、市区町村から送られてくる個人住民税の納付書から個人住民税を納付することになります。確定申告したデータが、各市町村に送られ、各市町村で決定された税額が、納付書と共に決定通知書としてご自宅に届くことになります。納付時期は、(市町村により若干違うのですが)概ね、6月・8月・10月・1月と年4回に分割されて支払うこととなります。

特別徴収

給与所得者は基本的には、給与から住民税を天引きされる特別徴収となります。
ただし、事業所が給与支払報告書を各市町村に提出していない場合は、ご自身で住民税の申告をし特別徴収ではなく普通徴収で納付することとなります。

特別徴収は、1月1日~12月31日の所得を納税者に変わって事業所が、納税者の居住している各市町村に報告することで各市区町村が納税額を決定することになります。決定された納税額は、各事業所に送られ、6月~5月の12カ月で毎月給与から控除され事業所が納税することになります。

4. 住民税(特別徴収)の納税の仕方

源泉所得税は、ダイレクト納付やペイジーによってオフィスに居ながら簡単に納付手続きが可能です。

しかし、住民税の特別徴収は、ダイレクト納付はなく、またペイジーについても対応してる市区町村が少ないのが現状です。ただし、都市銀行では、インターネットバンキングによる地方税納入サービスがあり手数料は必要なのですが、納付書をもって毎月10日までに金融機関に行くことを考えるとコスト削減になります。

各銀行のインターネットバンキングの住民税納入サービス

銀行名/サービス名 地方税納入サービスの利用
三菱東京UFJ銀行
BizSTATION
総合/給与振込サービスを別途申込みで利用可能。
三井住友銀行
パソコンバンクWeb21
別途申込みなしで利用可能。
デビュータイプでは利用できません。
りそな銀行
りそなビジネスダイレクト
別途申込みなしで利用可能。
miniでは利用できません。
みずほ銀行
みずほビジネスWEB
別途申込みなしで利用可能。
ライトプランでは利用できません。

上記サービスでは、住民税の納付申請を毎月する必要がありますが、三菱東京UFJ銀行では、ネットバンキングを利用しなくても、1年分の住民税を登録すれば毎月自動的に納付してくれるサービスもあります。退職時については変更届を提出すればOKですごく便利です。

~参考~
これは便利!源泉所得税をネットで納付する方法
ネットバンキングで源泉所得税を納付する方法を動画で解説
住民税をネットで簡単に納付!毎月銀行に行かずに納付する方法

5. 特別徴収している際の特殊な取扱い

個人住民税の特別徴収の場合の退職時の取扱い

住民税の特別徴収をしてる場合、退職時期によって住民税の取扱いが変わります。

〇 1月~5月に退職する場合の個人住民税

退職月から5月までに控除する個人住民税を最終支給額(もしくは退職金)から一括して控除する必要があります。

〇 6月~12月に退職する場合の個人住民税

6月~12月に退職する場合は、1月~5月に退職した場合と同じように退職月から5月までに控除する個人住民税を一括して控除するか、普通徴収に切り替えて後程、市区町村から送られてくる納付書で納付する方法があります。

個人住民税の特別徴収 海外赴任時の取扱い

海外に1年以上赴任することになり、海外転出届を提出してもその年度の個人住民税の納税義務はなくなりません。
1月1日の住所地の市区町村と都道府県が課税主体となり、前年の所得に従って決定される税金ですので、年の途中で住民票が無くなっても最終の5月分まで支払う必要があります。

ただし、1月1日に国内に居住地がなければその年度の住民税は発生しないことになります。
海外赴任になり、国内の事業所からの給料が無くなる場合は、退職時と同じ処理になります。

 

住民税の納付が遅れたときの取扱い

住民税の納付期日が遅れてしまうと延滞税を別途納める必要があります。ですので、納付期日を守らないと損することになります。

延滞税は、納付期限から1ヵ月以内に納付する場合は、各年の前々年10月から前年9月までにおける国内銀行の新規の短期貸出約定平均金利の平均の割合に年1%を加算した割合(0.1%未満の端数は切り捨てます。)(以下「特例基準割合」という。)に、年1%を加算した割合(上限は7.3%)で延滞税を課税されますが、1ヵ月を過ぎてしまうと、1ヵ月を経過した日から納付までの期間は、上記特例基準割合に年7.3%を加算した割合(上限は14.6%)で計算されることになるので、もし納付期日に遅れてしまっても1ヵ月以内に納税しないと負担は大きくなります。

また、催促状などが送られたりしてもその手数料も請求されることになるので納付期日はしっかり守ってください。