今回は税務調査において守る側の経理担当者が事前に用意すべき資料とチェックすべき項目についてまとめてみた。
税務調査において必要な帳簿書類
- 総勘定元帳
- 売掛帳及び買掛帳
- 現金出納帳
- 期末棚卸資産の明細表
- 売上の関係書類(見積書、納品書、請求書(控)、領収証(控))
- 仕入及び一般管理費の関係書類(請求書、領収証)
- 賃金台帳及び源泉徴収関係
- 消費税課税区分一覧表
- 契約書及び議事録
1~9は、通常3期分必要だ。
税務調査前に事前にチェックすべき項目
事業概況等
- 会社概況や取引状況について正確に説明できるか
- 遠隔地取引や単発などのイレギュラーな取引について説明できるか
- 現金残高と現金出納帳の帳簿残高は一致してるか
- 法人名義の預金通帳等は、会社に保管してるか
- 調査当日に社長及び経理担当者の机、金庫等の中を調べられても大丈夫か
- 調査当日にPC(「ごみ箱」も)をチェックされても大丈夫か
- 調査当日に事務所、店舗、工場、倉庫等の実地確認されても大丈夫か
売上・雑収入関係
- 納品書及び請求書(控)、領収証(控)等から売上が適正に計上されているか
- 期末の売上計上は適正に計上されるか
- 受注から売上計上までの一連の流れを説明できるか
- 売上の計上基準は明確になってるか
- グループ法人または役員親族間の取引金額は適正か
- 個人事業者から法人成りの場合、個人時代の預金口座に売上代金が入金されていないか
- 売上値引きがある場合、計算根拠も含めて説明できるか
- スクラップ、副産物の売却代金は雑収入に計上されているか
- リベート収入等は雑収入に計上されているか
仕入・外注関係
- 仕入及び外注費に関する証票類は調査官に提示できる状態か
- 期末の仕入及び外注費の計上が適正に計上されているか
- 紛失した証標類がある場合、取引内容及び取引先への確認が可能か
- 仕入値引き等については適正に計上されているか
- イレギュラーな取引について、取引開始の経緯を含めて説明できるか
- グループ法人または役員親族間の取引金額は適正か
- 給与課税対象になる外注費はないか
- 従業員から外注先になった者の外注費計上の正当性は説明できるか
期末棚卸資産関係
- 期末棚卸資産の明細表等の集計は正確か
- 期末棚卸資産計上については、棚卸実施状況も含めて説明することができるか
- 預け在庫及び積送品については計上してるか
- 期末棚卸資産計上額には労務費が算入されてるか
人件費関係
- タイムカードまたは出勤簿等の勤務状況資料を含めて、人件費計上の流れを説明できるか
- 退職したアルバイトなどの非正規社員については、その者の住所等も含めた詳細説明ができるか
一般管理費関係
- 一般管理費に関する証票類は調査官に提示できる状況か
- 期末の一般管理費の計上が適正に計上されているか
- 短期前払費用で損金計上した費用については、損金算入の要件を満たしているか
- 紛失した証標類がある場合、取引内容及び取引先への確認が可能か
- 接待交際費と他の勘定科目との区分は適正にされているか
- 旅費規定作成を含めた旅費精算は適正にされているか
- 修繕費と資本的支出の判定は適正にされているか
- 商品評価損の計上がある場合は、資料に基づいて説明できるか
- 貸倒損失の計上がある場合は、資料に基づいて説明ができるか
- 従業員に家賃や昼食の補助を行っている場合、源泉所得税課税は大丈夫か
- 保険料については、資産計上分と損金計上分を適正に区分してるか
- 交通違反金などの罰科金は、法人税申告書で損金不算入にしているか
その他
- 仮受金や前受金で売上計上すべきものはないか
- 仮払金の精算は適正にされているか
- 役員に対する貸付金には利息収入を計上してるか
- 固定資産の除却損がある場合は、証拠資料等で説明できるか
- 役員退職金については、損金算入の要件を満たしているか
- 消費税申告の計算において、課否判定は適正にされてるか
- 契約書や領収証には適正な収入印紙が貼付されてるか
これらの内容は経理担当者として普段から意識すべき内容でもある。税務調査前にあわてて準備するのではなく、常日頃から備えておきたい。その一助となれば幸いである。